Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

太一への陰謀(1)

2014-04-13 01:00:00 | 雪3年3部(太一への陰謀~甘い記憶)
福井太一は、授業が始まると真面目にノートを取り始めた。

隣に雪や聡美の姿はない。太一は一人で座っていた。



最近の彼はというと、あまり二人と一緒に居ることをしなくなった。

先ほど聡美から近況を探るメールが来たけれど、それも後回しにして太一は授業に集中する。

「よぉ?」



すると隣の席に、横山翔が突然座ってきた。

太一は目を見開きつつ、真顔で彼のことを見つめる。



横山は太一に話しかけてくる。

遅刻しちゃったよ、とか、隣座ってもいい?とか。



太一はそれに応えることなく、再び前を向いてノートを取り始めた。

しかし横山は太一の態度を気に留めず、尚も彼に話しかけ続けた。

「‥最近よそよそしいのな? 今もバスケやってんのか?」



横山の口にするチクリと刺す嫌味にも、太一は反応せず彼を無視した。

しかしそれも想定内だと言わんばかりに、横山は言葉を続ける。

「ところでよぉ、お前姐さん達と離れて退屈じゃねーの?

俺は姐さんじゃなくて兄貴だけど、時々こうして一緒に座ろうぜ。なぁ?」




自分が先輩であるということの誇示と、いつも雪と聡美と一緒にいることへの誹謗。

親切の仮面を被りながらも、その本心が透けて見える。太一は尚も無視し続けた。



横山はそんな太一を見て、大げさに頭を横に振って溜息を吐いてみせた。

「おいおい和解しようぜ~? 仲良くなって悪いことなんてないだろ?

器が小さいのは止めてくれな!」




そして再び癖のある声でベラベラと、彼の話は続く。

「無視すんなよな~。‥は~ぁ‥俺最近ツイてなくてさぁ。彼女と別れることになっちって。

そんでお前に相談したいことがあんだけど」




そう言って横山は、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

太一の方をチラと窺い見る。



彼の企みが一歩一歩、その結末に向かって歩みを進めていた。横山は軽い調子で彼に話しかける。

「お前みたいにさぁ、女二人はべらせる方法教えてくれよ。

お前オタクだと思ってたけど結構やるよな~?秘訣って何? お前が俺より優れてるとこって‥何だ?背か?」




ケラケラと笑いながら、横山は太一に向かって失礼なことを言い続けた。

その癇に障る声を聞き流しながらも、遂に太一が彼に向かって口を開く。

「あの、教授の声が聞こえないんですが」



太一はノートを取りながら、横山の方を窺うこと無くそうピシャリと言った。

横山は顔を顰めながら適当に相槌を打つと、呟くようにこう口にする。

「ふ~ん‥。伊吹聡美の話があるんだけどな~‥」



伊吹聡美、その名が彼の陰謀のキーワードだった。

そして案の定、太一の中のアンテナがピクリと反応する。



横山はそんな太一の様子を見過ごさなかった。

軽い調子で笑いながら、からかうように声を掛ける。

「おっまえまだアイツのこと好きなの?てか見てっと分かんだろ?

お前なんてアイツの好みじゃねぇっての!分かんねぇの?」




横山は厳しい言葉を次々と口にした。

伊吹聡美は遊び慣れた年上の男が好みなのだ、同い年の自分でさえ厳しい、と。

「おっしいよなぁ。可愛いもんアイツ。だろ?」



太一はニタニタと笑う横山の方を一向に見なかったが、いつの間にかノートを取る手が止まっていた。

黙り込む太一に、尚も横山の言葉が浴びせられる。

「てか、お前何年アイツのこと追っかけてんのよ?入学した時からぁ?クックック‥」



バカにしたように嗤う横山の声が、太一の心に溜まっていく。

それは澱のようにネットリと絡みつき、太一の思考を停止させていく。



横山は太一の方に身を乗り出し、クックックと嗤った。

「お前って、俺よりはるかにネチッコイ奴だよな~?は~‥マジ哀れな後輩だぜ!」



そう言って横山は、ポケットから携帯を取り出した。

「その代わりといっちゃなんだけど、イイモノやんよ。ほら」



横山は声をひそめ携帯をかざすと、いやらしい嗤いを口にしながら話し出した。

ニタニタした笑い顔と、ベタベタした話し方で。

「前こっそり撮った聡美の写真があんだよ。

無闇に他人に見せられないようなのもあんだぜ?クックック‥」




それを聞く太一の手は、今や完全に停止していた。

心の容器に溜まった澱が、ドロドロと溢れ出す。

「お前には特別に‥」



横山がそう口にした時だった。

ついに限界を迎えた太一と、目が合ったのは。





バキッ!!



太一の懇親の一撃が、横山の頬にクリーンヒットした。

横山は衝撃で椅子から転げ落ち、太一は肩で息をしながら彼を見下ろす。



心の中で、憎しみが燃えていた。

太一は何も考えられぬまま、その感情に任せて拳を振るったのだ。



見下ろした横山は、顔面を押さえながら細かく震えていた。

頬は早くも赤く腫れ、それは痛々しい程だった。



辺りは騒然とした。

教授が立ち上がり太一に退室を言い渡し、横山を助けるよう周りの学生を促す。



ガヤガヤと騒がしい教室内で、未だ太一は高ぶる感情を持て余していた。

肩で細かく息をしながら、周りで囁かれる人々の声が耳を通って消えていく。



立ち尽くす太一を残して、横山は学生達に連れられ医務室へと向かって行った。

周りの学生達は太一のことを、異物を見るような目つきで眺めていく。



太一は横山に視線を流した。

そして目に入って来たのは、彼に見せつけるように嗤った横顔‥。



太一はその歪んだ笑みから、視線を外すことが出来なかった。

心の中で溢れた澱が、流れ出して全身を濡らしていくようだった。



周りの声など気にならなかった。

それよりもこの胸を騒がす気持ち悪い感情を、太一は持て余して立ち尽くしていた‥。

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<太一への陰謀(1)>でした。

こうして見ると横山ちっちゃいですね~。太一が大きいのか?

そして韓国にも「オタク」という言葉があるんですね!ハングル読みでそのまま「オタク」なのでビックリしました。

ヲタは世界を超える‥!


本編では横山×太一のエピソードと、雪×香織のエピソードが混ぜこぜで描かれているのですが、

記事ではそれぞれまとめて書いていくつもりですので、あしからず‥。

ということで次回もこの二人‥。

<太一への陰謀(2)>です。

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