Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

意識

2014-04-12 01:00:00 | 雪3年3部(秋夜の二人~意識する雪まで)


結局雪は河村亮と別れた後、そのまま家に帰ってきた。

シャワーを済ませてからベッドに寝転がると、淳に向けて一通のメールを打った。



どこか落ち着かない気分のまま、とりあえず気になっていることだけメールする。

無事帰れました?



送信ボタンを押してから、雪はしばらく携帯を持ちながら返信を待ってみた。

しかし一向に携帯は鳴らない。



雪はもう一通だけ、短く用件を打つ。

寝ます?



時計を見ると、もう深夜一時を回っている。

既に彼が寝ていたとしても不思議ではない時刻だ。

しかし雪は携帯を見つめながら、じっと返信を待っていた。



雪は携帯を持ちながら、そのままゴロゴロと転がった。

「先輩ちゃんと帰れたかなぁ‥タクシー乗るまでは大丈夫だったけど‥。

何で返信こないのかなぁ‥」




雪はソワソワした気分で携帯を持ち、返信を待ち続けた。

気になっていることが、つい口をついて出る。

「酔った勢いでキスしといて‥次会った時記憶が無いってことはないでしょうね‥?」



キス、という単語を出すだけで頬が染まっていくのを感じる。

雪は高鳴る鼓動を抑えることが出来ないまま寝転がっていると、不意に携帯が鳴り返信が入った。

うn ゆきちゃんmおやすみ



恐らく片手で打ったであろうその簡素な返信を見て、雪は力が抜けていくのを感じた。

そして、どこか残念なような苛立たしいような、形容しがたい感情が彼女の胸を騒がせる。

「あ~なによも~!寝るの?!寝れるの?!よく平気で寝れるよねぇ?!」



雪はとてもじゃないけれど、眠れそうになかった。

ふと我に返るとすぐ、浮かんでくる場面があった。



大きな手が頬に触れた。

酒臭い彼の熱い吐息がかかり、唇が燃える‥。

「うぅ‥」



雪はぎゅっと枕を抱きしめると、唇にその感触が蘇ってくるようだった。

全身が熱くなり、心臓が早鐘を打つ。もう自分で自分がコントロール出来なかった。

「うわあああああ!」



また部屋で叫んでいる姉に、蓮の怒号が飛ぶ。

しかし雪は一人赤面しながら、ベッドにバタバタと足を投げ出した。

「もー!!どーしよーー!!!」



夜は更けゆくのに、高揚のせいでちっとも眠れそうにない。

窓から空を見上げると、丸い月が浮かんでいた。

そして同じ月夜の空の下で、彼女を悩ます彼はベッドに横になっていた。



こちらは彼女と打って変わって、早くも熟睡中だ。スヤスヤと赤ん坊のような安らかな寝息を立てている。

大瓶四本の焼酎とキスの酔いが、彼を深い眠りの世界へと誘っていく。



おやすみ、先輩。

おやすみ、雪。

月の光は皆を包み、時は平等に巡って夜は更けゆく‥。








一夜開けて大学では、居場所の無くなった横山翔が一人悔しさを噛み締め項垂れていた。

俯きながら、ギリリと歯を食いしばっている。



畜生、と呟いて思い出すのは、先ほどの同期や先輩達の態度である。

「みんな!先輩も‥!今日は俺が飲み代持つっスから、腹を割って話を‥」



横山は彼らにそう声を掛けたが、同期や先輩達の自分を見る目は冷ややかだった。

「お前青田に謝ったのかよ?一度じゃ飽きたらず二度も噛み付きやがって‥」



そう言って彼らは背を向けた。

いやらしそうに嗤う声が、耳に残って心をざわつかせる。

アイツマジ変わってねーじゃんww



昨日まで自分をチヤホヤしていた彼らは、一度も振り返らずにその場から去って行った。

そして横山は悔しさを噛み締めながら、中庭にて彼女を待ち、ようやくその腕を捕まえた。

「直美さん、話を聞いてくれ!本当に誤解なんだって‥!」



しかし直美は腕を振り払うと、あんたと話すことはないと言って顔を顰めた。

「直美さん‥俺のこと、信じられない?」



横山は潤んだ瞳でそう問いかけるが直美は、

「ま‥またほとぼりが冷めたら話そ‥」



そう言って駆けて行ってしまった。

取り残された横山を指差して、ヒソヒソと話す声が聞こえる。

アイツまたやらかしたってさ マジ青田をなんだと思ってんだろ?

手が先に出るとか、本気で頭悪ぃよな



大学生にもなって、先輩の胸ぐら掴むとかありえねーよ

ウケるww



浴びせられる嘲り、嘲笑、自分を馬鹿にする彼らの心無い言葉達。

横山は震えるほど拳を握りしめながら、青筋を立てて憤った。

クッソ‥”先輩”だと?闘う理由があってこそのあの状況だろうが!

たった何歳か年食ってるってだけで、偉そうな顔して吠えやがって!クソが!




横山は頭を抱えて悶絶した。

クソ‥こんな大学に大した伝統と上下ルールなんてあるかよ‥。

青田のクソ野郎も、先輩として敬うべきだっていうのか?!




しかしどんなに頭を抱えて不満を蓄えたところで、状況は何も変わらない。横山は苛立っていた。

とにかく‥どうやって挽回すればいい?

やっと学校生活が変わってきたところだってのに‥




夏休みから水面下で自分を株を上げる努力をしてきたのに、ここに来て白紙に戻ってしまったことに横山は焦りを感じていた。

思い悩みながらふと顔を上げると、あの男の姿が目に入った。



長身のその男は、ゲームをしながら構内を歩いていた。

女の子に挨拶されて、手を振って応えている。



ケッ、と吐き捨てるように言った横山は彼から目を逸らした。

いけ好かない思いが胸を支配する中、一つの考えが浮かぶ。

もう一度、彼の姿をその視線が追った。

「おっとぉ‥」



前々から気に入らないあの後輩を貶めて、自分が株を上げる方法を横山は思いついた。

彼はニヤリと意地悪い笑みを浮かべると、その後輩の後をこっそりとついて行った‥。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<意識>でした。

雪ちゃん可愛いですね~(*^^*)連載史上最高の”オトメ度”だったんじゃないでしょうか?



そして‥この先何日も萌えない展開が続きます‥。orz

皆様お辛いでしょうが、私も辛いですから‥!頑張ります‥(テンション低)

次回は<太一への陰謀(1)>です。

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