Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

雪への陰謀(2)

2014-04-16 01:00:00 | 雪3年3部(太一への陰謀~甘い記憶)
はぁ、と雪は深く溜息を吐いた。

ライオン人形について、清水香織が目に見えて嘘を吐いているからだった。



雪は香織が自分のライオン人形を盗んだことを知っていた。

事を荒立てたくはない、けれどどう考えても香織の行動は許されるものではない‥。

雪は憂うように息を吐くと、香織に向かって説くように言葉を続ける。

「服装が似てるってことについては私の気持ちの問題だけど、

私が失くした物をあんたが持ってるってことは、さすがに問題なんじゃない?

あんたが私のあの人形見て、可愛いって言ってたのほんの数日前じゃない」




あの時の香織の反応を、今も雪は覚えている。

どう見ても、ライオン人形を初めて見たリアクションだった‥。

これカワイ~!どこで買ったの?

 

もう真実はハッキリしている。だからこそ雪は感情任せではなく冷静にその事実を香織に確認しているのだが、

そんな雪の気持ちに反して彼女は感情的に尚も文句を言ってくる。

「あ、あんた‥!しょ、証拠でもあんの?!よくも平気な顔してそんな話が出来るよね?!」



しかも声を荒げるものだから、廊下を行き交う人々はチラチラと二人を見てはコソコソと何か噂をして行くのだ。

雪は気になりながらも、しょうがないので遂に切り札を出すことにした。

「それどこで買ったって?」

「あんたが買ったのと同じ、大学の近くのKマートよ!」



叩き返すような香織の反応に、雪は冷静に切り札を突きつける。

「それ、随分前に生産中止になったんだって聞いた。店員さんに直接ね」



突きつけられた真実を前に、香織はあんぐりと口を開けたまま、冷や汗をダラダラと流した。

そんな彼女に「どういうことか」と冷静に聞く雪と、感情のままに詰め寄る聡美。



しかしそれでも尚、香織は何か言い訳しようと「あ‥いや私は‥」と言葉を濁した。

雪はそんな香織に、「それじゃあ明日持って来て見せてもらえる?」と畳み掛ける。



チェックメイトだ。

どう考えてもこれ以上の言い逃れは厳しい。

青くなった香織の顔に、冷や汗が幾粒も窺えた。



雪は真っ直ぐに、香織のことを見つめていた。

切れ長の大きな目が、その真実を見透かすように厳しく光っている。



香織は瞬きもせずに雪の瞳をじっと見ていた。

グラグラと瞳が揺れていた。



雪はその時が来るのをじっと待っていた。彼女に厳しい視線を送りながら。

もう止めて。ここで謝るなら私も‥



今謝ってくれるなら、これ以上は責めるつもりはないと雪は思っていた。

香織の口から謝罪の言葉を聞ける時を、雪は待っているのだ。



沈黙した二人の周りを、皆ヒソヒソと噂をしながら横切っていく。


そして次の瞬間、そこに居る誰もが度肝を抜かれる出来事が起こった。


「う‥うわあああああああーーん!!」



なんと、香織が顔を押さえて号泣し始めたのだ。

当然雪も聡美もわけが分からない。二人はしゃがみ込んだ香織を見て目を剥いた。



そして香織はそのまま大音量で泣き続けた。

雪と聡美はその状況に戸惑ったまま、何も出来ずに立ち尽くす。



先ほどまでは通り過ぎていた周りの人達も、今やギャラリーとなって三人の周りを取り囲んでいた。

そしてそんな騒ぎを聞きつけて、直美がバタバタと走りながらこちらに向かって来た。

「何があったの?どうしたの?!」



直美は香織に手を差し伸べ何があったのかと聞き続けたが、

香織は何も言わずに泣きじゃくったままだ。

雪は呆然としながらその光景を見ていた。何もかもが予想外だ‥。



やがて香織は、何があったのかしゃくり上げながら直美に話し始めた。

「ゆ‥雪ちゃんが‥ひっ‥ひっ‥雪ちゃんが‥。私が服装を真似て‥人形も盗んだって‥。

ひどいよ‥私は何も悪くないのに‥何で泥棒扱いされるのぉ‥ひっ‥ひっ」




香織の言葉に、雪は開いた口が塞がらない。聡美は香織に向かって人差し指を差すと、彼女を罵倒した。

「うっうわ~~!マジで言ってんの?!笑わせんな!」



そんなとんでもない状況に囲まれて、直美は厳しい視線を雪に投げかけると口を開いた。

「それ本当なの?雪ちゃん‥ちょっとひどいんじゃない?同じ学科の同期同士で‥」



泣いている香織の背を擦りながらそう言う直美に、雪は否定の言葉を口に出そうとするが、

その前に聡美が声を上げた。

「違うし!それじゃあ同期同士なら物を盗んでも構わないっての?!」



すると香織は顔を上げ、震える声で聡美に噛み付いた。

「しょしょしょしょ、証拠はあるの?!」



そしてその言葉に、とうとう聡美がキレた。

聡美は香織の手を掴むと、無理やり立たせようとして引っ張った。

「立ちなさいよっ!じゃあ一緒にKマート行こうじゃないの!

行って直接店員に聞いてやる!」




そんな聡美を直美が止めに入り、ギャラリーを含むその場は騒然とした。

直美は何とか香織をなだめて立たせると、彼女と共に雪と聡美から背を向ける。

「とにかく!大したことじゃないんだから、お互い誤解があるなら早く解きなよね」



直美は香織の背を擦りながら、二人の元から去って行った。

未だ状況が把握しきれない雪と聡美は、呆然としたままその場に取り残される。



そしてそんな二人を見ながらの、ギャラリー達のヒソヒソ話が聞こえて来た。

なんか良く分かんないけど、あの子が何か盗んだって? 潔白なら一緒に店に行くだろうけど‥



えっマジでズボンのことで喧嘩したん?超イミフなんだけど あーうるせー。つまんねーことで喧嘩すんなよ

一部始終を見ていたキノコ頭の後輩達は、ニヤニヤと笑いながら雪について噂した。

「てか思ったより赤山先輩ってコワイねー」

「青田先輩と付き合って変わったんじゃないのぉ?喧嘩とかガキくさー」



蔑み、嘲笑、見下し、侮蔑。様々な感情が雪と聡美の周りに蔓延していた。

人々は去って行く香織の後ろ姿にも、様々な噂を口にする。



香織が雪の服装を真似していたことについて、同期達はうすうす感づいていたようだ。

けれどそれが罪になるかと言ったら、特許があるわけでもないそれを問い正すのは難しいんじゃないかという意見が囁かれる。

「てかあの子の目元、ちょっと雪ちゃんぽいよね」

「プッ やめなよー」



女子達は、香織の整形疑惑について口にして笑うと、その場を後にした。

取り残され立ち尽くす雪に、聡美が憤慨の声を上げる。

雪は一人瞳を閉じながら、こんな状況に陥ってしまったことを悔いた。

何でこんな風に状況がふりだしに戻って‥。まさかこんな手に出てくるなんて‥!



雪は予想外の展開にただただ驚き、後悔し、そして苛立っていた。

髪の毛をくしゃくしゃにして、歯を食いしばる。



それはストレスを受けた時の彼女の癖だ。

雪はそのままその場を後にしたが、心の中を覆っていく黒い影からは、逃げられそうにも無かった‥。


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<雪への陰謀(2)>でした。

香織さん‥整形するときに雪っぽくしたんでしょうか‥こ、コワイ‥^^;

さて香織がこんな風な行動をしたのは、とある人物が指導した結果だったのです。

ですので題名も<雪への陰謀>となっています。


次回はそれが誰の陰謀だったかも書きつつの、<河村姉弟現る>です。


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