Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

雪への陰謀(1)

2014-04-15 01:00:00 | 雪3年3部(太一への陰謀~甘い記憶)
(*時系列としては、<太一への陰謀>と<雪への陰謀>は同時に起こった出来事となります。

この記事の冒頭部分では、まだ太一と横山の騒動は起こっておりません。あしからず‥)

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あのキスから一夜明け、雪は大学の構内を聡美と共に歩いていた。

聡美は最近めっきり連絡の取りづらくなった太一について愚痴をこぼしている。

「ようやくネトゲから脱却したと思ったら、今度はスマホのゲームにハマりやがって‥!」



やはりオタク気質な太一‥。聡美はハマる先が違うだけで状況が変わらないことに腹を立てていた。

いつかしばいたる、と息巻く聡美を見て、雪はクックと可笑しそうに笑う。



すると前から歩いて来た彼女を見て、

雪は自分の目を疑った。



清水香織だった。なんと、あのズボンと同じようなデザインのものを履いていた。

彼女はあの日の雪のスタイルを、完全に真似していたのだ。

 



目を見開いたまま、雪は何も口に出来なかった。

雪の後方で、聡美が大きく声を上げる。

「あっあれ‥!」



当然聡美にも見覚えのあるズボンだ。

他の人達もそうらしく、廊下をすれ違う学生達は皆香織のズボンに目を留めて行く。



香織は、目を剥いている聡美と雪を見てビクッと身を強張らせた。

しかし取り繕うような笑顔でとりあえずの挨拶をすると、そそくさとその場から立ち去ろうとした。



そしてすれ違いざまに、香織は今日雪が着ているカーディガンを盗み見た。

初めて見る服だ‥香織は目に焼き付けるように、それを脳に刻み込む。

そんなことには気付かぬ雪は呟くように、「そのズボン‥」と口にした。



すると香織はヘラッと笑うと、

「ああ、これ?これ流行ってるみたいよ!」と言ってのけた。



最近巷でよく見るありふれたデザインだ、と香織は続けた。

それを聞いた雪の脳裏に、萌奈から送られてきた手紙の文面が蘇る。

”近い内にうちのネットショップでアップされる予定の新しい服なんだけど、

私がデザインしたのよ!”




手紙には確かにそう書いてあった。つまりどう考えても”ありふれたデザイン”ではないのだ。

雪は明らかに嘘を吐いている香織の方を、厳しい視線で真っ直ぐに見つめる。



香織はそのまま雪に背を向けようとしたが、雪は声を上げて彼女を呼び止めた。

「香織ちゃん!」



ビクッと、香織は身を強張らせて恐る恐る振り返った。

視線の先には、厳しい目で自分を見つめる雪の顔がある。

「ちょっと話そ」



雪はそう言いながら香織に真っ直ぐ近付いて行った。

何も誤魔化さず、何も偽らず、正面から彼女と向き合う。



話があるの、ともう一度雪は香織にそう伝えた。

香織はドギマギしながらも、体裁を整えてそれに応じる。

「な、何で?何なの‥?」



しかしここは沢山の人が行き交う廊下だ。雪は周りを見回して、冷静な提案をした。

「‥その前に、ちょっと場所変えよ」



そう言った雪だったが、香織は首を横に振ってそれを拒否する。

「う、ううん!大丈夫よ?!話すならここで話したいわ!」



香織が大きな声でそう提案を返すので、雪は不本意ながらもここで話をすることにした。

ズボンを指差し、早速本題を切り出す。

「あんたのそのズボン‥私と似たようなのを買ったの?」



雪は冷静にそう問うた。すると香織は少し過剰に反応し、攻撃的な姿勢に出る。

「な、何言ってるの?ただ気に入ったから買っただけだけど?!

だって、ありふれたデザインだもの!」




香織は悪びれずにそう返した。

そして雪のことを恨めしそうな眼差しで見つめると、更に攻撃的に言葉を続ける。

「それとも何?私が着ちゃダメだって言うの?気ぃ悪くさせちゃったかしら?」



真似たことを認め謝るどころか、香織はそれを否定し居直った。

更に言葉を重ねようとする香織であったが、雪は冷静に口を開く。

「いや、あんたが前に私のライオン人形見て気に入って買ったみたいだから、

ズボンもそうしたのかと思ったんだけど‥」




雪は以前彼女の口から語られた”事実”を口にした。それが嘘だと分かっていながらも。

き、汚い‥!ケチくさい幼稚な手で‥!



香織は口を噤みながら、雪の用意周到な誘導尋問に対して憤っていた。

しかし雪もなりふり構ってはいられない。

毒には毒を‥



こういった方法は多少不本意だが、少し頭を使わなければ自分だけがバカをみることになると、雪は悟っていた。

自分で「私の真似をしてる?」と聞くなんて、一つ間違えば厚かましいことこの上ないではないか。



そして案の定、香織は噛み付いてきた。

あんたの真似をしたんじゃない、真似るならモデルや女優など綺麗な人達を真似る、と失礼なことを言う。



雪は俯きながら、ズボンについてはこれ以上追及しても無駄だと判断した。

実のところ、服を真似る真似ないは大した問題じゃない。一番の問題は‥

「ところで、あのライオン人形のことだけど」



雪が本題を口にした途端、香織はビクリと身を強張らせた。

雪は構わず、冷静に言葉を続ける。

「あの人形‥新しく買ったにしてはちょっと急すぎるんじゃない?

やっぱりどこかで拾ったんじゃないの?」




そう冷静に問う雪に、香織は叩き返すようなリアクションで答えた。

私も買ったって言ってるでしょ、と。

「それじゃあちょっと見せてくれる?

私が失くした物と似たとこがあるか確認したい‥」




雪が言葉を続けようとすると、香織はそれを大声で遮った。

「い、今持ってないの‥!」



香織はそう言ったきり、ブルブルと震えながら俯いた。

息は荒く、顔色は悪く、見るからに嘘をついている体だった。



雪はあんぐりと口を開けながら、目の前で震える彼女を見ていた。

なんともやりきれない気持ちで、雪は溜息を吐く‥。



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<雪への陰謀(1)>でした。

香織さん‥強気に出てきましたね‥。そしてどこで見つけたんだ‥あの萌奈ズボン!

その執着を違う方面に生かしてほしいですね‥。


次回<雪への陰謀(2)>へ続きます。


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