Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

騒がしい宴会

2014-04-06 01:00:00 | 雪3年3部(秋夜の二人~意識する雪まで)
「うぉ~!これはこれは、我が経営学科の首席次席カップルではないか~!」



柳瀬健太は、そう言って雪と淳の座っているテーブルへと近寄ってきた。

彼の後ろには、ゾロゾロと見慣れた顔が並んでいる。

「よぉ淳!」「赤山ちゃ~ん!」



突然の彼らの乱入に、雪は驚き淳は目を丸くする。

しかしそんな二人の様子など気にすることなく、

健太を始めとする経営学科の四年男達はワイワイと二人を取り囲んだ。

「こんばんは」「おお!俺らもここ座んぞ?」

「四年男子会ってか~」



結局彼らは雪と淳と同席することにして、席を作り始めた。

健太は「淳の送別会も兼ねてな!」と言うが、

雪は「青田先輩だけがインターンに行くわけでもないのに‥」と不服そうだ。



そんな中、淳はテキパキと動き既に健太達の席を作って用意していた。

そのスマートな振る舞いに、健太は終始ゴキゲンである。

「どうぞこちらへ」「オッケ~オッケ~!さすが青田だな!」



そして何が何やら分からぬ内に、テーブルでは騒がしい宴会がスタートしていた。

雪と淳が頼んでいた酒に、遠慮なく健太や他の男達が手を伸ばす。

雪は彼らのその厚かましさに、言葉も出なかった。



ワナワナしている雪だったが、健太はまるで構わずに彼女に向かって焼酎を差し出した。

「そういえば、赤山に祝杯の一杯もあげてなかったよな!ひとまず駆け付け一杯!」



カップル記念にかこつけて、健太は雪に酒をすすめた。突然差し出されたグラスに雪は戸惑ったが、

健太は先輩の権限を使って強要してくる。

「先輩の言うことがきけないか~?」



雪は遂にグラスを受け取ると、そのなみなみと注がれた焼酎を見て様々な心配事が浮かんでくるのを感じた。

このお酒強いんだよなぁ‥。先輩も飲んだら運転出来ないし、家も遠いし‥。

とにかくこの人達の前で醜態を晒すことだけは避けたい‥けど、ここで断ったら場がしらけちゃうし‥うう‥




モヤモヤ考えていた雪だったが、次の瞬間その心配事も終わりとなった。

隣に座る淳が、雪の持っているグラスを取り上げたのだ。

「ちょうだい。雪は酒に弱いんです。俺が代わりに飲みますから」



淳はそう言って、グラスに入った焼酎を勢い良く飲み干した。

おおっ、と周りからはどよめきが起こる。



雪は何も言えないまま、唇を拭う彼を見ていた。

心の中に、こそばゆい感情が芽生えていく。





皆は彼女の代わりに酒を飲んだ淳をはやし立て、ワイワイと騒いでいた。

彼は皆から見えない角度に顔を向けると、深く一つ息を吐く。

雪が座っている位置からはそれが見えた。

 

それから皆が雪に酒をすすめる度、それを取り上げて淳が飲む、ということを繰り返した。

彼らが騒がしく笑う傍らで溜息を吐く淳を見て、雪は申し訳ない気持ちでいっぱいだ‥。








そして雪と淳を囲む彼らは、賑やかに食べて飲んでと楽しんだ。

四年生の彼らが口にする話題は、決まって就職の話や卒業の話だった。

彼らの内の一人は卒業試験の追試が決まったと言って嘆き、続けて淳に話題を振った。

「淳は追試なんて無いんだろ?」



その質問に、淳の代わりに健太が答える。

「ウハハ!コイツが追試なわけねーじゃねーか!

お前大学四年間楽しかっただろー?なーんも問題無くて~優秀でよぉ~!」




健太は酒が入って良い気分なのか上機嫌だった。

大口を開けて笑う彼だが、淳はその問いに対して冷静に口を開く。

「まさか。俺は疲れましたよ。大学生活の間中、ずっと疲れていました」



彼は酔いが顔に出ないが、確実に酒が回っていた。

そのため普段ならピタリと閉じた心の扉の蝶番が緩み、そこから本音が漏れ出していた。

「そろそろ限界が来ていたので、インターンに行くことになってラッキーです。

卒業まではなんとか我慢できると思います」




雪は淡々と語る彼の指先が、小さく動いているのに目に留めた。

トントントンと聞こえる、規則的なそのリズム。



それは雪の他は誰も気が付かなかったのだが、

彼女の耳だけはそこから生まれる小さな音を拾っていた‥。




そして期せずして淳の本音を聞くことになった健太は、

今日噂になった横山との一悶着が原因だと踏んで己の意見を述べた。

「アイツはまだ未熟者だからよぉ、お前のその大きな器で許してやってくれよ。

去年も何かと分かってやったじゃねーか」




淳は健太の横山への憐憫を誘うような発言に、「別に気にしていません」と淡々と答えた。

それを聞いた健太は腕組みをして肩を竦めると、呆れたような表情を浮かべこう言った。

「とにかくあのマヌケ野郎、何であんなことしたのかさっぱりだぜ。

罪の無い淳を困らせて‥」




しかし健太が最後まで言い終わる前に、淳は真っ直ぐ彼を見つめて口を開いた。

「本気でそう思ってますか?」



「へっ?」



突如淳の問いを受けた健太は、油断していた喉元にナイフを突きつけられた気持ちがした。背筋がヒヤッとする。

しかし次の瞬間、淳はニコッといつもの微笑みを浮かべると、

「ありがたいです」と言って鋭利な雰囲気を捨てた。



健太はどこか釈然としない気持ちのまま沈黙した。

先ほど淳が口にした本音といい、不意に見せた鋭い雰囲気といい、何かおかしい気がするが、

それをはっきりとした言葉には出来なかった‥。







そして雪は、再び小さく動いている淳の指先に目を留め、一人思案していた。

先ほど彼と大学構内で待ち合わせをしていた時も、淳は足先を同じように規則的に動かしていた‥。



雪は俯いた彼の横顔を見つめながら、その行動の意味を推し量っていた。

何か不満や不安のようなものがあるのかな‥



自身の心の内を、淳が語ることは少なかった。彼の本音はなかなか引き出せない。

雪自身も、自分の気持ちを打ち明けることは得意じゃない。

だからこそ、今心の扉の鍵が緩くなった彼が出す小さなSOSを、雪はその鋭敏な精神で汲み取っているのだ‥。


「おいおい~彼氏に釘付けかよ!イケメンだもんなぁ~!」

「赤山ってば今まで誰にも見向きもしなかったのに、実は面食いだったんだなー」

「えぇ?違‥」



気がついたら、淳のことを見つめて随分と時間が経っていた。

雪の視線を辿った彼らは、その熱い眼差しをからかって笑い始める。



そしていつしか話題は、雪と淳がどうやって付き合い始めたかという方向へと転がり出した。

夏休みのバイトで‥と雪は答えるが、そんなつまらない始まりのわけないと言って先輩達は聞く耳も持たない。

「ちょっとくらいなら大丈夫だろ?」



そう言って柳はカップル記念の祝杯を雪に渡そうとするが、やはり淳がそれを取り上げ、一気した。

これには柳も開いた口が塞がらない。

「んだよ~赤山は淳の管理下だな!淳タンかわいいよ淳タン!」

「やってらんね~!青田キモい~w!」



はやし立てる彼らの真ん中で、雪は照れくさい気持ちで首を掻いた。

何だかんだ言って、まだ一杯もお酒を口にしていない。淳が全部飲んでくれているのだ。

「なぁ!カップルなら皆の前でキスくらい見せてくれてもいんじゃないの?!」



そんな中、彼らの内の一人がとんでもないことを言い出した。

目を剥いた雪とキョトンとした淳の元に、ドドッと皆が押し寄せる。

「おお!そうだそうだ!やれやれー!」「カップル承認式しなくちゃなー!」



そう口々に言う一同は、興奮しながら目をランランと輝かしている。雪は動揺の最中、赤面しながら必死で抵抗した。

「はぁ?!いきなり何を言い出すんですか!止めて下さい‥!」



しかしそんな二人に柳からコールがかかる。

「キ~ス」



タン、タン、と柳がコールに合わせて手を叩くと、皆もそれに合わせてコールを始めた。

キ~ス!キ~ス!



雪と淳の周りに野太い声が響いた。

名づけて「キスコール」。二人は目を見開いた‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<騒がしい宴会>でした。

健太先輩、それパワハラです‥orz

韓国の飲み会は未だイッキが主流なのでしょうか?お酒が弱い人には辛いですよね‥。

こんな飲み会を何度も経験し、酔っ払った健太を介抱し、その上食事代を払ってきた淳に同情します‥。


しかし今回萌えました‥あぁ、淳先輩!!イケメン!!




次回は<笑顔の向こう側>です。


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