Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼女の変貌

2014-02-10 01:00:00 | 雪3年3部(新学期~気になるアイツまで)
初日の大騒ぎはすぐに無くなったけれど、時々感じる好奇心に満ちた視線は相変わらずだ。



雪は廊下を歩くと、何かとそんな視線を感じた。

雪自身の調査では、すれ違った十人中四人がそんな視線を送ってくるとのことだ。



波乱に満ちた新学期。

日常に変化は絶えない。

「”科代”、直美さんになったよ。まぁ単独候補だったから皆の予想通りだったみたいだけど」



”科代”というのは、学科代表の略だ。

前年度は平井和美が務めたが、今年度は同学年でも最年長の直美さんが務めることになった。



成績から見れば先期全体首席の雪に指名がいくこともあり得たのだが、なんとか免れたようだ。

学科代表と言うと聞こえは良いが、雑用や面倒な仕事も沢山ある。

たらい回しで自分達のところにお鉢が回ってくるんじゃないかと思ってビクビクしていたと、そう言って聡美は笑った。



二人が談笑していると、「雪ちゃん、おはよう」と不意に背後から声を掛けられた。

雪が振り向くと、そこには一人の女子学生が立っていた。



久しぶり、とその子は言ったのだが、雪はそれが誰であるか分からなかった。

隣に居る聡美も分からないようだ。



彼女ははにかみながらその名前を口にした。

「私‥香織よ。清水香織」



二人は驚愕の声を上げた。

「ええっ?!」



雪と聡美が知っている清水香織はこういう顔だった。

眼鏡でひっつめ髪、どこかドン臭い印象‥。



今雪と聡美の目の前に居る香織は、あの頃とはまるで別人だった。

二人は彼女の変貌に、ただただ驚いて声を上げる。



本当に香織ちゃん? 全然分からなかった、という二人の声に、香織は照れたように微笑んだ。

「えへへ‥眼鏡が無いからそう思うのかな‥?ちょっと変でしょう?」



彼女の謙遜に、雪はニッコリと笑って首を横に振った。

「そんなことない、すごく可愛いよ!」



雪にそう言ってもらえた香織は有頂天になった。

そんな香織を見て雪は微笑む。



雪の隣で香織のことをじっと見ていた聡美だったが、とあることに気がついた。

香織は聡美と目が合うと、さっと視線を逸らすのだ。



香織は雪の隣の席に腰掛けると、相変わらず聡美を無視して雪の方ばかり見ていた。

聡美は鏡を取り出して、幾分大きな声で独りごちる。

「あたしも皮膚科でも通おっかな~。最近IPLのパッケージ割が出たんだよねぇ~」



聡美がフェイシャルエステのことを口に出したのを聞いて、雪はいきなり何を言い出すのかと彼女に質問した。

しかしその問答が始まる前に、香織は雪に何事も無かったかのように問いを投げた。

「雪ちゃん!夏休みはどうだった?」



あんぐりと口を開ける聡美の横で、雪は自身の夏休みを振り返った。

あまりに色々なことがありすぎて、一言ではとても説明出来ない‥。



雪は自身の答えの代わりに、香織の夏休みはどうだったかと質問を返した。

香織は一人思い出すように目をつむり、語りかけるように静かに話し出す。

「今まであまりにも適当に学校生活送ってきたから、

今学期からは真面目に頑張ろうと思って‥。だから夏休み中も沢山勉強したんだ」




勉強だけなわけないじゃんねぇ、と雪の隣で聡美が口を尖らせながら言った。

香織の話を静かに聞いていた雪は、突然の聡美の発言に冷や汗をかいた。なぜ彼女がそんなことを言うのか、雪には分かっていない。



唇に人差し指を当てる雪が、小声で聡美に「何でそんなこと言うの?!」と注意する。

しかし香織は何も気が付かず、再び雪に声を掛けた。今日の服装かわいいね、と。

「前から思ってたんだけど、私雪ちゃんの格好すっごい好きなんだぁ」



雪は素直にありがとう、と言ってニッコリした。

笑い合う雪と香織の隣で、聡美が一人青筋を浮かべて呟く。

「あ~そうでっか。あたしは幽霊かっつーの



すると教室の入口から、太一が息せき切って現れた。

「聡美さん!俺の本、聡美さんのカバンの中にあるっぽいっス!」



早く早く、と急かす太一の横で、聡美が「ったくもー」と言いながらカバンを探る。

太一と聡美のいつもの風景だ。



ようやく自分の本を手にした太一は、隣にいた男子学生に声を掛けられた。

「いや~てかよォ、俺は確かにお前と赤山が付き合ってるって聞いたんだけど」



デマが確定した噂を、未だに口にしてくる人間に聡美は怒り、太一は呆れた。しかし男の話は続く。

「ところが赤山の相手は青田先輩だったろ?

横山の奴、聞き間違えたくせに自信満々でそう言ってたぜ?」




”横山”の名前に、雪がピクリと反応した。

男に向かって質問しようとした瞬間、隣の席の香織が大声を上げた。

「ええ~~?!青田先輩と雪ちゃんが?!本当に?!」



雪は突然の大声にビックリしたが、冷静に彼女の問いに対して頷いた。

「う、うん‥。何で?」



それに対して、香織は驚いた顔をしながら続けた。

「あ‥ううん‥。青田先輩と雪ちゃんが‥本当に? 信じられない‥」



香織はそう言って口元を手で覆った。

雪と淳が付き合っていることを耳にして、ここまで露骨にその気持ちを表情と態度に出す香織。

雪は若干言葉に詰まる。



そんな彼女の態度を見て、先ほどからイライラさせられていた聡美がキレた。

「ちょっとあんた!何よその言い方!雪のこと侮辱する気?!」



聡美に責められた香織は、直ちに顔面蒼白になった。

「ご、ご、ご、ごめん!!」



慌てて雪に向かって弁解する香織。その取り乱した態度に、聡美も驚いて言葉を無くす。

「ほ、本当にごめんね!そういうつもりじゃなかったの!!

私知らなくて‥本当よ!ごめんね雪ちゃん、本当にごめん!怒らないで!」




香織の狼狽を受けて、雪は戸惑いながら「大丈夫だから、」と言って彼女を宥めた。

「ったく‥いきなり何なのこの子‥」



聡美は愚痴るようにそう呟いて、居心地悪そうに頭を掻いた。

そんな三人の前で太一は、先ほどの男が口にした”横山”のことを考えていた‥。




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<彼女の変貌>でした。

これまで直美先輩は青田先輩の代と同期なんだと思っていたんですが、

今回の学科代表の話題で雪と同期なんだということに気がつきました。でも年齢は青田先輩と同じだそうです。

だから「タヨンソンベ」ではなく「タヨンオンニ」なんですね~。

さて出てきました清水香織!波乱の幕開けですね。

次回は<黒幕>です。

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