Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

木漏れ日の中で

2014-02-17 01:00:00 | 雪3年3部(新学期~気になるアイツまで)
皆さんは覚えているだろうか。

去年雪が、平井和美から嫌がらせを受けていた時のことを。

青田先輩と親しいと勘違いされ、嘘をつかれたりミスプリントを寄越されたり‥。



その時雪は平井和美の後ろ姿に中指を立てた。

F◯ck You!



そしてふと視線を感じて振り向いたのだった。



そこには彼が居た。

ぼんやりとした視線を送りながら、彼女のその姿を目にする青田淳が‥。



‥ということと同じような場面が、今年に入ってまた繰り返されたのだった。

今度の相手は横山だったが‥。

 
 

去年と引き続き雪は石になった。

中指を立てた格好のまま‥。

デジャブ‥

 

雪はアセアセと先輩の方へ駆け寄った。

一体いつからここに居たのかという問いに、彼は「今さっき」と簡潔に答える。



「で、何でそうやってたの?」



彼はストレートに、雪が中指を立てていたことの理由を聞いてきた。

雪は幾分取り乱しながら、ゴニョゴニョと言葉を濁す。

「い、いや‥ただ‥横山の奴にちょいちょいムカついて‥」



そう言って顔を逸らす雪を見て、彼は意地悪く微笑んで首を傾げた。

「ふぅん?」



雪はタジタジしながら言い訳を口にする。

横山とは色々あったから、まぁその‥ゴニョゴニョゴニョ‥。



淳は軽く息を吐くと、彼女に向かって一つ提案した。

「そう?俺が話をつけようか?」



雪は思わぬ彼の発言に幾分驚いたが、すぐに首を横に振った。

先輩がそんなことをする必要は無いと言って。

‥何だかそうしちゃいけないような‥感じ‥



しかし雪が遠慮したのは彼を巻き込む心苦しさからではなく、

彼女の第六感がその提案を受け入れるのを拒否したからだった。

要するに、嫌な予感がしたのだ。

彼が意図を持って意地悪く微笑むのを、雪は去年何度も見てきたのだ‥。



それきり黙り込んだ雪を前に、淳は腕組みをしながら唸るように言った。

「度々イライラさせられるね」



去って行く横山の後ろ姿を眺めながら、「とにかく気をつけて。また何かあったら俺に言って」

と雪に伝え、彼女がそれに頷いた。

「まぁ‥あんな奴に度々神経使ってちゃ、時間がもったいないですよ」



雪は悟ったように、息を吐きながらそう言った。

すると隣の彼はニッコリと微笑んで、彼女の頭をワシャワシャと撫でる。

「そうだね。時間も財産だよ。大切に使わなきゃ」



それは、正しい答えを出した子供を褒めるような仕草だった。

彼は同じ場所に位置する先輩として、彼女があるべき答えに辿り着いたことを褒めたのだ。

そして彼は雪の目の高さまで背を屈め、大切な”時間”をどういう風に使うと良いかを提案した。

「例えば‥俺と昼飯食べるとか!」 「へっ?先輩お昼まだなんですか?」



二人はそのまましばし顔を見合わせた。

お互いが予想外の行動をしていたようだ‥。



雪は先に授業が終わったので、聡美と太一とすでに昼食を済ませたことを話した。

そうだったんだ‥と淳は残念そうに言った後、呟くようにこう口にした。

「俺と食べようよ‥」



先輩であり彼氏である淳にそう言われ、

雪の心にグサッと”リョウシンノカシャク”の矢が幾つも刺さった。



背中にペタッと”恋愛初心者”のレッテルが貼られる。

雪は弁解するように先輩に向かって言葉を紡いだ。

「す、すいません‥違う授業だったから、先輩は柳先輩と一緒に食べるだろうとばかり‥」

「柳は雪ちゃんと食べろって言って、先に行っちゃったんだよ」

「‥‥‥‥」



さすが彼女持ちの柳。

いつもおちゃらけているだけかと思われがちだが、何気に気を使える男なのである。

しかしますます立つ瀬のない雪は二の句を継げないまま、申し訳無さそうに彼の袖を小さく掴んだ。

「次は絶対一緒に食べますから」「次「は」じゃなくて次「から」ー」



タハハ、と雪が頭を掻く。

彼は少し拗ねながら、もう腹ペコだから行こうと彼女を促す。

はいはい、と雪が頷く。



秋風の吹くキャンパスの中を、二人は肩を並べて歩いた。

口にする会話は授業のことや履修のことなど、何気ないことだったけれど。



彼の横を歩く彼女は、ごく自然な表情で微笑んでいた。

一年前は敵対心と悪感情ばかりを抱き続けた、大嫌いだった彼の隣で。



ザワッ、と強い風に緑が揺れた。葉擦れの音が聞こえる。

その風は二人の間にも吹き抜け、彼女の柔らかな髪をたなびかせる。



風は彼のサラサラとした髪も揺らした。前髪が上がり、形の良い額が見える。

二人を真上から照らす日差しの眩しさに、彼は目を細めた。



いい天気、と淳は呟いた。

風に揺れる緑が、日差しを映してキラキラと輝いている。

 

彼が優しい眼差しで、彼女を見つめる。

彼女は少し照れたような表情で、その視線を僅かに下に流す。



彼が彼女の小さな手を握った。彼女がぎゅっと握り返す。

伝わってくる温かな体温が溶け合うと、一層距離が縮まった。



二人は木漏れ日の中を、手を繋ぎながら歩いた。

黄金色の日差しがキラキラと輝きながら、木々の間から二人に注ぐ。



雪は自然と微笑んでいた。

心の中に温かなものが芽生えゆくのを感じる‥。



そして二人は並木通りを抜けると、様々な科の学生達が行き交う広い道に出た。

お昼休みともあって、道は学生で溢れている。



そして次第に雪の心は変化していった。

握り合う掌に、ジットリと汗をかいていくようだった。

手を繋ぐの、初めてってわけじゃないのに‥何か今更‥



チラッと行き交う人達を窺ってみると、皆こちらを見ている気がした。

ジロジロと人々は、彼、彼女、繋いだ手、と左右上下に視線を動かし、すれ違って行く。



雪はだんだんと緊張していった。

先輩と付き合うことになった日想像していた悪夢を、現実に見ているような気になる‥。

青田と赤山付き合ってるらしーよ。 え?!マジで?!ありえないんだけど!

あれが経営学科の青田の彼女だと。 誰?あの子 何かの間違いじゃね?


違う違うって言っといて結局付き合ってんのかよ‥

いつまで続くことやら? しーっ!




雪は慣れない状況の中、極度の緊張で手足が同時に出るようになってしまった。

しかし隣の彼といえば相変わらずの端麗さで、何も頓着していないようだ。

そんな彼を意識して、雪はより一層ギクシャクしてしまう。



不自然な彼女の行動に、淳が「どうしたの?」と彼女に聞いた。

雪はビクッとしながら、構内をこうやって歩くのは初めてだから、と口にする。



雪は軽く息を吐きながら言った。

「なんだか変に恥ずかしくって‥」



神経過敏な自分の悪い癖だ、じき慣れますよ、と雪は付け加えたが、

それを聞いた淳はキョトンとした顔で問うた。

「ん?何が恥ずかしいの?」



皆に見られることが当たり前の淳は、彼女の言葉の意味が分からなかった。

変に手を振りすぎて歩いていたかと思って、繋いだ手をオーバーに振ってみる。

「こういうこと?」 「それともこう?」
 


彼の長い腕が、大きな軌道で弧を描く。

雪は彼からされるがままに、その場でブンブンと振り回された。

「いや、こうか?それともこうか?教えてよ」



うわあああ!と雪の叫びが辺りにこだまする。

止めて下さいと必死で口にする雪を見て、彼は心底楽しそうに大口開けて笑った。

「はははは!」



それはどう見ても仲の良いカップルのやり取りで、彼の大きな笑い声に皆が振り返っていく。

そして去年から彼に目を付けていたキノコ頭は、ハンカチを噛み血の涙を流し、悔しがっていた‥。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<木漏れ日の中で>でした。

いや~いいですね!爽やかな回でした。

木漏れ日や秋の風、そして彼と手を繋ぐ感覚‥。

それらを想像してみると、少し俯いて微笑む雪ちゃんの気持ちが分かる気がします。^^


次回は<漠然>です。

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!