Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

最後のボランティア

2014-02-04 01:00:00 | 雪3年2部(大家の孫~了)


夏休み中通ったボランティアも、遂に最終回を迎えた。

雪は倉野愛の隣に座り、絵本を読んであげていた。

全ての物事には、ケジメが必要な時が来る

 

雪はウサギが出てくる絵本を読んでいた。愛は手遊びをしながらも、じっと雪の声に耳を傾けている。

「そしてウサギは、にんじんを一つ持って行ってもいいよと言われました」



雪は絵本をただ読むのではなく、時にオーバーアクションを混ぜながら愛の意識を自分の方に向けた。

しかし愛は絵本の内容自体に興味が無いようだ。

「ウサギはいーっちばん!大きなにんじんを!」



「にんじんきらい!」

マズイもん、と言って愛は机に突っ伏した。

しかし雪は慌てずに、「それじゃあ愛ちゃんは何が好き?」と質問した。



「アメちゃん!」と愛が答える。

雪は機転を利かせて、にんじんをアメに代えて絵本を読むことを続ける。

「ウサギは一番大きなアメを一つもらいました。けれどそれだけでは足りなくて、

隣にいたウサギのアメも取って‥」




ニコニコと雪は絵本を読むが、愛の想像ではズルいウサギが踊り狂っているイメージだ。

クスクス笑いながらウサギは、愛の脳裏をクルクルと‥。



「ウサギきらい!みんなきらいーー!!」



愛と雪の大騒ぎは、今やボランティアの時間恒例の光景になった。

またやってる‥と言いながら先生が、そんな二人の様子を微笑ましく見守っている‥。




愛の機嫌が悪くなったら、一旦外へ出て新鮮な空気を吸う。冷たいものでも食べに行こう、と言って席を外す。

”こうしなければ”に囚われず、相手を見て臨機応変に対応すること。

それは彼から教わった。



雪は愛にアイスキャンディーを買ってあげた。

まだ暑さの残る日差しの中を、アイスをかじる愛と並んで歩く。



しかし途中で愛は、アイスキャンディーを落としてしまった。

雪は泣き叫ぶ愛を抱き上げて、彼女なりに一生懸命愛をあやす。



そして愛は号泣したまま、やがて雪の腕の中で眠ってしまった。

ベンチに愛を横たえると、疲れた雪はそのまま一緒に居眠りを‥。

 


初めは愛との時間に戸惑って、思うようにいかない授業に苛立ったこともあった。

自己嫌悪に陥ったこともあった。

 

けれど共に過ごす内に、彼女と向き合う内に、雪は自分なりの方法で愛に接することが出来るようになっていった。

それは彼女のひたむきな努力と、相手を思いやる優しさの成せる技だ。



「けれどウサギ‥いや子犬は‥」



教室に戻った雪と愛は、絵本の続きを読み始めた。

ウサギは嫌、にんじんは嫌、と何かと嫌がる愛に合わせて読んでいるので、もう内容はハチャメチャだ。

「子犬‥のおばあさんね。だからえーと‥大きな犬‥大きな犬は‥

到底アメを諦めることは出来ませんでした」




こんなに苦労して読んでるのに全然聞いてない‥orz

雪は絵本を閉じて、最後の文章を愛に向かって語った。

「そしてついにアメを二個持って‥逃げましたよ、と」



愛の目の前に、雪はアメ玉を二つ置いた。気が散っていた愛も、思わずそれに手を伸ばす。

「アメちゃん!」



アメを持って喜ぶ愛を見て、雪が安堵の息を吐く。

愛はアメを両手に持ちながら、アメちゃんアメちゃんと呟いていた。そして雪は、信じられないものを耳にする。

「に、こ」



雪は目を丸くした。聞き間違いでなければ、今確かに愛は「二個」と言ったのだ。

愛がアメを一つ口に含む。



そして愛は片手に持ったアメを持って、呟くようにこう言った。

「いっこ‥」



雪の顔がみるみる笑顔になっていく。

「愛ちゃぁぁん!



雪は愛を抱き締めて喜んだ。

きゃあきゃあと大騒ぎする二人を見て、先生は若干呆れ顔‥。




「愛ちゃん!お姉ちゃん行っちゃうよ~?」



物事には必ず終りが来る。そして遂に、愛とのお別れの時が来た。

先生と教室を出ようとする雪は愛に何度も声を掛けるが、愛はいつも通り目も合わせず俯いているだけだった。



雪は教室のドアから、オーバーアクションで愛に言葉を掛ける。

「あいちゃーん!お姉ちゃん今日で最後なんだよ~?もう会えないんだよ~?」



雪は何度もバイバイ、と愛に声を掛けたが、最後まで愛は雪の方を向くことは無かった。

初めから終わりまで、残念だけれどそれは変わらなかった‥。


「お疲れ様」 「はい、短い間でしたがありがとうございました」



大学頑張ってね、と言って先生は雪に別れを告げた。雪は会釈をしながら廊下を歩き出す。

塾も終わって、ボランティアもこれで終わった‥



雪は心の中で呟きながら、ぽっかりと穴の空いたような気持ちを感じていた。

色々なことをやり遂げたのに、どうしてこんなに寂しい気持ちになるんだろう‥



廊下を歩く雪の耳に、小さな足音が聞こえた。

雪が振り返ると同時に、足音の主の愛が、雪の腰に抱きついた。



愛はゆっくりと口を開いた。顔を雪のお腹にうずめているので、若干声がくぐもっている。

「おねえちゃん‥いっちゃうの?」



雪は驚いていた。尚も愛は言葉を続ける。

「もうこない? なんでもうこないの?」



抱きつかれたお腹の辺りに、愛のぬくもりを感じた。ぽっかりと空いた心の穴が、温まっていくような気がする。

ぎゅっと強く服の端を掴んだ、小さな愛の手。雪は大事なことに気付かされた思いだった。

‥そうだ。なぜ忘れていたんだろう。



夏休みに巡り合った縁は、みゆきちゃんだけじゃない



雪は愛の目の高さに視線を合わせ、その小さな手をぎゅっと握った。

俯く彼女の瞳を覗き込むように、雪なりにこれからのことを説明する。

「愛ちゃん、お姉ちゃんはもう夏休みが終わるから、忙しくなるんだ‥」



しかし愛は必死に、アメ玉を手に持って言葉を紡いだ。

「ア‥アメちゃんがいっこ‥」



愛の手を握った雪の手を、愛はぎこちなく掴むとその掌を開いた。

コロン、と小さな気持ちが雪の手に乗った。

「にこ‥」



雪はアメを受け取りながら、愛の顔を見つめた。

いつも雪と目を合わせなかった愛だが、その時初めて二人の視線は、真っ直ぐに繋がった。



心と心が通い合う感覚が、雪の心の穴を温かく埋めていく。

思わず笑みがこぼれて、雪は微笑んだ。



雪は愛から、大切なことを教わった。

私はかつてこのボランティアを、就職活動の一環とだけ考えていた

雪は愛の顔を大きく撫でながら、彼女に優しく声を掛けた。

「愛ちゃん、お姉ちゃん行かないよ。また時々来るからね」



愛ちゃんが、人間関係の内の大切な一人だということを、見過ごしていたのかもしれない。

それはあまりにも申し訳ないことだ


雪の言葉と真心が、愛にゆっくりと伝わって行く。

「ほんとに?」



雪は「本当だよ!」と言って、愛を抱きしめようと手を伸ばした。

しかし愛はその手をすり抜けるように、さっさと元来た道を戻って行った。



小さな足が教室へ入って行く。

最後はやっぱり、いつも通りの倉野愛だった。



雪は笑顔を浮かべながら、愛が去って行くのを見届けた。

心の中に浮かぶのはたった一言だ。もうこの一言で、苦労した二ヶ月間も報われたように思う。

嬉しかった




終わっていくものと、終わらないもの。

雪はこの夏休みの終わりに、その二つのものに囲まれていた。


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<最後のボランティア>でした。

雪ちゃん報われてよかったね~~T T

彼女のひたむきな気持ちが伝わったんだと思います。

ピンクのワンピースが可愛い愛ちゃんですが、



最後走り去る愛ちゃんの服がなぜか緑色に‥。



細かいクラブ~でした。


次回は<綺麗な夕陽>です。

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