Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼女との最後

2014-02-03 01:00:00 | 雪3年2部(大家の孫~了)
塾での最終試験が終わった雪は、大きく伸びをした。

「ああ~!終わった~!!」



手にした成績表の内容は上々だった。

何かと一緒になって勉強を見てくれた先輩に、感謝しなければ‥。



とうとうこれで塾も終わった。

雪が帰路を歩いていると、見慣れたあの子と出くわした。



二人は顔を見合わせたまま暫し沈黙したが、やがて近藤みゆきが口を開いた。

「試験‥どうだった? もう塾通わないんでしょ?」 



雪は頷き、みゆきに同じ質問を返した。みゆきは溜息を吐きながら答える。

「みゆきちゃんは?」

「あたし全然ダメー。勉強してないからしょうがないんだけどさ」



みゆきはもう大学も始まるし、雪と同じく塾は辞めると言った。

二人は互いに、元の日常に戻って行く。

「それじゃあ‥大学頑張って」 「うん、ゆっきーもね‥」
 


そう言って二人は別々の方向に歩き出した。

雪は前を向き、みゆきは雪の後ろ姿を横目で窺っている。



「みゆきちゃん」



不意に雪が振り返り、彼女の名を呼んだ。みゆきがビクッと身を固める。

みゆきの心の中に、未だわだかまりが残っている。雪は彼女を責めた自分に怒るだろうか、捨て台詞でも吐くだろうか‥。

「ありがとうね」



しかし雪はみゆきの予想に反して、ありがとうと言った。それは皮肉でも嫌味でもない、純粋な感謝だった。

「え?」と聞き返すみゆきに、雪は言葉を続けた。



「塾で話しかけてくれて、一緒に居てくれて」






始まりは、隣の席になったことだった。

派手な外見と周りを気にしない彼女の性分に、正直言って戸惑った。



けれど共に過ごす内に、彼女の内面は素直でいい子だと気付かされた。

誰もノートを貸してくれなかった時も、嫌な顔一つせず見せてくれた。



けれどどうしても価値観が合わないところがあった。

その度に雪は微妙な気分になり、みゆきはどこか不満気だった。

 

そしていつしか二人の間には亀裂が入り、

互いへの不信感は増し、結果関係は破綻して‥。



雪はトラブルが起こった時に、今まで築いてきた関係ごと諦めた彼女に失望した。

みゆきは他人の言葉を鵜呑みにして、目の前の雪を信じようとはしなかった‥。



けれど彼女にも彼女の考えがあるだろう、雪はそう考えた。

自分の意見を押し付けることも出来ず、結果みゆきとはそれまでの仲だったんだと関係を諦めた。



けれども、塾の中でみゆきに救われた場面が幾つもあった。

嬉しかったことも、楽しかったことも。

 

その時に感じた温かさや感謝は、本当の気持ちだった。

関係は破綻してしまっても、その時感じた気持ちまで無かったことにしてしまうことが、

雪にはどうしても出来なかった‥。







予想外の言葉を耳にしたみゆきは、そのまま暫し固まっていた。

雪はそれきり、彼女に背を向けて歩いて行く。



みゆきは雪の後ろ姿を目にしたまま、自分も廊下を歩き出した。

ゆっくりと彼女が言った言葉の意味と、彼女の懐の広さに気づいていく。

 

みゆきの瞳に、涙が滲んだ。

それはみるみる内に溢れ、気がつけばみゆきは号泣しながら廊下を歩いていた。




雪は心の中で、みゆきを思いながら独り呟いた。


本当にこれで全て終わり。私は、笑って言えていたかな‥?




雪はそのまま、最後まで振り返らなかった。

みゆきのように泣いていたのかもしれない、それとも涙を堪えて歯を食いしばっていたのかもしれない。

胸中で様々な思いが交錯する‥。


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<彼女との最後>でした。

少し短めですいません~~区切りを付けるとどうしても‥^^;

みゆきちゃんとの出会いから最後までのダイジェスト風にしてみました。色々ありましたねぇ。

遠藤さんや秀樹兄さんの時もそうでしたが、人間余裕がなくなると変に人を疑ったり卑屈になったり‥。

みゆきちゃんも本来はいい子なのに、他人の目や中傷、そしてあの悪評に疲れてやさぐれちゃったんだろうなぁと。

そんな本当の彼女の温かい部分に、最後感謝した雪ちゃんは大人ですね。

振り返らなかった雪ちゃん、涙が滲んでいたかもしれませんね^^

次回は<最後のボランティア>です。

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