Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

綺麗な夕陽

2014-02-05 01:00:00 | 雪3年2部(大家の孫~了)
まだ日が昇る前の、静かな時間。

河村亮は丁寧に靴紐を結んだ。



早朝の空気はひんやりしていて、夏の終わりといっても肌寒いほどだった。

亮は長袖のジャケットに灰色のキャップという出で立ちで、自分の部屋のドアの前に立つ。



そんな亮の気配を察して、寝ぼけ眼の小太り君が自分の部屋から顔を出した。

「河村クン、何でこんな朝早く出てくんだなん?新しい仕事かん?」



「おう」

「何の仕事かん?」



「食堂」

「はっは~ん」

小太り君は頷き、頑張れだなん、と言って大あくびをした。



亮が短く「おう」と答える。

小太り君が部屋のドアを閉めると、亮は一つ深呼吸をした。

自分の部屋の玄関まで持ってきている、大荷物を振り返る。



河村亮は、今日この下宿を去る。

二つの大きなカバンと身一つで、また違う町へと移動する。



階段を下り、下宿の玄関を出た。朝の光が眩しかった。

亮は大あくびをしながら、その清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。



通い慣れた通りを、一人闊歩する。もう来ることは無いだろう。

ここからの旅立ち、そして新しいステージへの、出発の朝だ‥。








そして私達は、私のせいで行けなかった旅行に日帰りで行った



ザザン、と海岸に波が打ち寄せる。

雪、聡美、太一の三人は波打ち際に立っていた。太一は二人の方を向きながら、ある重大な発表をする。

「もうあのゲームはしないッス」



太一はどうやらネットゲームのオフ会に参加し、メンバーとの仲違いの末喧嘩をして帰ってきたらしい。

ギリギリと歯噛みしながら、その事件を語る。

「自分達はゲームヘタクソのくせに、全部俺のせいにしやがったんス!

それにアイテム配分もめちゃくちゃで!それに対して不満も言っちゃいけないっていうんスか?!!」




そんなん知るか!と聡美の喝が飛ぶのも構わず、太一は叫びながら海へと走って行った。

多数こそが正義なのか!抗議すら出来ないのか!と憤りながら太一は飛ぶ。



聡美は太一を指さし喝を飛ばす。

「何で旅行直前にオフ会なんかして騒ぎを起こすのよ!それみたことか!」



雪と聡美が、砂浜に座る。

「日帰りだってのに時間がもったいないっての!」



海辺は風も強く、少し肌寒いほどだった。

相変わらず海に向かって叫び続ける太一の背中を見て、聡美が呆れ顔で息を吐く。



聡美は隣に座る雪に、日頃太一に感じている不満をぶち撒けた。

それは怒っているようであり、心配している風でもある。

「太一の奴、普段は無表情で飄々としてるくせに、

たまにカッとする癖があるから問題なのよ。いつか何かやらかすんじゃないかと思って気が気じゃないよ」




聡美はそう言った後、雪に向かって忠告するように言葉を掛けた。青田先輩のことだ。

「雪、あんたも先輩のこと注意して見てなさいよ。

あの事は確かにすごいと思うけど‥。理由はともかく暴力は良くないよ」





青田先輩が捕まえたあの犯人は、見ているこちらの気分が悪くなるくらいに殴られていた。

彼女を助けてくれた彼氏、と言うと聞こえは良いが、暴力が大嫌いな聡美にとっては、あれは衝撃的な出来事だったのだ。




「ヒーローはフィクションの中だけで、現実は現実なんだしさ」



聡美の言葉に、雪は複雑な気持ちで頷いた。

雪も彼の暴力は良くないと思ったが、”自分のため”にしてくれたことだからと、

彼にその是非を問うことが出来ないでいたからだ‥。




「あ!メウンタン!」



不意に太一が振り返り、メウンタン(魚出汁の辛い鍋)を食べに行こうと言って二人の元に戻ってきた。

ここの地方の名物料理なのだ。

太一が携帯でお店を調べるのを、二人がワイワイと覗き込む。味趣連、いよいよ出陣である。



すると雪が、とあるものに気がついた。

思わず顔が綻ぶ。



「夕焼けだ!夕焼け!」



三人はそれを見て感嘆の声を上げた。

「おおー」 「キレー!」



夕陽に向けて携帯を向けた。こういうのは撮るのが難しいと言って太一が苦戦する。

三人はキャイキャイとはしゃぎながら、日が沈む前の刹那を堪能する。










聡美が言った。


やっぱり三人はいいね、と。





太一が頷く。


携帯の中の夕陽は、キラキラと輝いている。





うん、と雪が答える。


黄金の光が、彼女の瞳に映りこむ。






少し寒いから、と言って太一が上着を二人に着せ掛けた。


三人は風に吹かれながら、互いの温もりを感じながら笑い合う。





三人って超いいね、と誰かが言った。


他の二人は心から頷く。


綺麗な夕陽が三人を染め上げる。


キラキラと輝きながら、キャイキャイとはしゃぐ彼らを。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<綺麗な夕陽>でした。

いや~もうなんか最終回みたい^^;

誰にも告げずに下宿を出て行く亮、一匹オオカミが様になってますね!

小太り君、悲しむだろうなぁ‥。


そして夕陽の前に肩を寄せ合う味趣連!大好きなところでした。

三人が食べに行くというメウンタンはこちら↓



めっちゃ辛いらしいですね。いつか食べてみたいです。

今回の太一のセリフは、訳をるるるさんに手伝って頂きました^0^!!感謝感謝デス~!

Special Thanx!!


さぁ、次の話で長かった2部もとうとう終わりを迎えます!!

次回<2学期もよろしく>、がんばります~!


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!