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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼の周囲

2013-08-01 01:00:00 | 雪3年1部(二人の写メ~映画)
雪が地下鉄に乗っている頃、

教室では柳と健太が携帯電話について話をしていた。



携帯を新しくしたという柳は、健太とその機能の面白さについて語っていると、

ふいに健太が、机に置きっぱなしになっている青田淳の携帯に目を留めた。



淳の携帯を手に取る健太。

「彼女の写真とかあったりして」



「勝手に見ちゃ悪いような‥」と言う柳に、

健太は「大丈夫だって!」と言って画面を覗きこむ。

「ん?」







画面はロックされていた。

健太が「なんだよ~。つまんねーな」と溜息を吐くと、

ふいに携帯に手がかかる。



青田淳だった。

淳は困ったような顔をして、何も言わずただ健太を凝視する。



そのまま淳は鞄を取ると、「用事があるんでお先に失礼します」とにこやかに去って行った。

青い顔をして柳を振り返る健太。

「おい‥見たか?今の顔‥。ちょっと携帯勝手に触ったからって、

上から目線で見てきやがって‥」




柳はそんなことないと言ったが、健太は到底納得出来ない。

「いーや、あいつは俺のこと見下してやがるんだ。

それとなく俺のことバカにしてると思わんか?」




健太は、日頃の不満を並べるように彼の印象を述べた。

あいつは時々自分の事を無視する行動をする。女を得意げに横取りしたり、時計を自慢したり‥。

先ほどの携帯を見て嫌そうな顔をしたのが良い例じゃないかと、

疑問気な表情をした柳も厭わず健太は、淳の印象を決定づけた。

「あいつには何か裏があるな」






淳は教室を出た後、事務室へ向かう廊下を歩いていた。



携帯電話をポケットから取り出し、暗証番号を入れる。



彼がロックしておきたかったもの。



淳はその写メを見て微笑んだ。



同族だと思い近付いた彼女。

話してみると殊の外面白く、そしていつも予想外の行動で彼の心を揺さぶる。

  







淳は浮き立つような気分で、廊下を歩いて行った。








事務室では、遠藤修が彼の到着を待っていた。



時間より少し遅れて入ってきた青田淳は、

「鞄と携帯を取ってくるのに手間取りまして、少し遅れました」と淡々と言う。

遠藤は早速切り出した。

「その‥お前が早期卒業を申請するんなら、この書類に記入してもらおうと思って‥」



彼は淳と目を合わさず、早口で言った。

そのために呼んだんですか、という淳の質問に、遠藤は答えずもう一度確認する。

「申請するんだろ?」



「いえ?」



その答えに、遠藤は慌てた。

前々から、それこそ淳が3年生の頃から周りでは彼が早期卒業をすると囁かれており、

事務員の一人が淳に確認した所、その意向だということが、遠藤の耳には入っていたのだ。








「ど‥どうしてだ?早期卒業出来るんだから、した方が良くないか?」



遠藤は以前彼から聞いた卒業後の進路を口にした。

「お前、卒業後は留学してさらに勉強すると言ってたじゃないか。

じゃなきゃすぐ親父さんの会社に入るって。年を重ねる前に、少しでも早く卒業した方が‥」


そう言った遠藤に、淳は困ったように口を開いた。

「他人事に興味津々ですね。そんなに気を遣って頂かなくても、全部分かってますから」



遠藤は、自分は淳の持つ点数をこのままにするのは惜しいから言っているんだ‥とモゴモゴ言う。

淳はそんな遠藤に、「俺も惜しいです」と返した。

そしてどこかを見つめるように微笑むと、思いを込めてこう言葉を紡ぐ。

「だから、残りの学期も最後まで通いたいんです」



遠藤は淳の言葉の意味が飲み込めなかった。




しかし淳は言ったのだ。

「大学に通った時間を全部合わせても、俺は今が一番楽しいんですよ」とさえ。



淳は遠藤を見ると、憐れむような表情を浮かべ、こう言った。

「遠藤さんが、俺に大学から早く出て行って欲しいのは分かりますが、

俺は今までのことを無かったことのようにして過ごしているのに、なぜ度々蒸し返すんですか?」




「気にしなければ良いだけの話でしょう?」




遠藤は何も言えなかった。

静寂が、事務室を覆う。







淳は遠藤を見下ろすと、「それじゃ、俺はこのへんで」と事務室を出て行った。

パタン、とドアが閉まる音を聞いてから、携帯を取り出す遠藤。



相手が出るやいなや、遠藤はふざけんじゃねーよと怒り出した。



電話の向こうの恋人は狼狽していた。

久々の電話なのに、開口一番なに怒ってるのと恋人が言うと、遠藤はより一層怒号を上げる。

「なんで怒るかって?!全部お前のためだよ!お前のために俺は‥!」



遠藤は忌まわしい記憶が蘇るのを感じていた。

お前のために俺は‥。貯金も崩した、他人のカードを盗んだ、脅迫されて罪を犯して、皆から白い目で見られた‥。

遠藤は乱暴に電話を切ると、机の上に放り投げた。



その後長い間、事務室では彼の呻く声が響いていた。







一方、散らかった安アパートの一室で、

遠藤の恋人はたった今かかってきた電話に困惑していた。



最近遠藤は機嫌が悪く、この間など笑っただけでバカにしてるのかと怒られたりするのだ。

彼は自分の感情ばかりを優先する遠藤を、窮屈に感じていた。



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<彼の周囲>でした!

後半部分は日本語版未掲載部分です。

ここで先輩の卒業後の進路が言及されているなんて知りませんでした。。


次回は<行き詰まり>です。


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