Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

誤解

2013-08-17 01:00:00 | 雪3年1部(合コン~和解)
青田淳は赤山雪の帰りを待っていた。



以前この辺りで車から彼女を降ろしたことを思い出し、ここに佇んで随分と時間が立った。

苛立ちのあまり河村亮に電話を掛け、その行動と生活態度に苦言を呈したが、

却ってそれは淳の心を波立たせた。



もう待っていても仕方がない。

淳は車の解錠キーを押す。



すると路地の方から、女の嘆くような声が聞こえた。

振り返ると、ボロボロになった彼女が歩いている。



手にはヒールの折れたパンプスをぶら下げ、裸足の足元は土で汚れていた。

雪は深い溜息を吐く。早く帰ってお風呂に入りたいと呟きながら。



下を向いて歩いていた彼女は、見覚えのある革靴がそこにあるのに気がついた。

雪が顔を上げると、誰かが目の前に立っている。



青田淳。

予想だにしない人物の登場に、雪は目を見開いた。

「へっ?先輩??」



淳もまた驚いていた。

数時間前に会った彼女の姿とは、まるで違っていたからだ。


雪は先ほどレストランで会った”青田淳の友達”について報告しようとしたが、淳がその言葉を遮った。

「どうして裸足なの?」



そう言われて、雪は自分の足元に目をやった。

裸足もそうだが、言われてみると今の格好もありえない‥。



恥じるような雪を前にして、淳はその手にぶら下げられたパンプスを持ち、彼女の腕を取った。

「送ってくよ」



淳は、靴を貸そうにも自分のでは大きすぎるので、

急いで帰るのが一番良いと言って、その手を引く。





暗く狭い路地に、革靴と裸足の足音がなんとも奇妙に響いていた。

その間も、先輩は何も喋らない。



雪はなんとも気まずい空気を感じていた。

チラリと見た彼の横顔は、不機嫌そのものだ。



雪は空気を変えようと、「この近くに何か用でもあったんですか?」と切り出した。

先輩は一瞬雪の方を見たが、すぐまた前を向いてしまった。

「電話、繋がらないから‥」



彼は、「一緒に映画を観に行った帰り、この辺りで降ろしたことを思い出したから」と言った。

まさか本当に会えるとは思ってもみなかったと続ける彼に、雪は困惑した。



彼が自分に会いに来たということが、信じられなかったからだ。

何か急用でもあったのか、課題のことか‥と質問しようとする雪の言葉を、先輩は途中で遮った。

「ずっと考えてたんだ。今日‥今日雪ちゃんが俺に‥」



先輩は、その続きを言わなかった。

その代わりに、最近雪が彼に対して気楽に接し、楽しそうに話してくれるようになったと思っていると彼は言った。

雪と彼との距離は縮み、二人の仲もそれなりに深まって来たと思っていたと。

けれど‥。


彼はその氷のような横顔で、ポツリとこう言った。

「雪ちゃんも、理由があったんだね」



雪は咄嗟に、「そんなんじゃ‥」と否定した。



しかし脳裏に恵の顔が思い浮かんで、その否定を続けることが出来なくなった。

「め、恵のことなら‥今日はあんな形になっちゃったんですけど‥そのことでしたら‥」



しどろもどろになった雪の弁解に、先輩は「否定しないんだね」と止めを刺した‥。





気まずいまま二人は、雪の家の前に到着した。



それじゃ、と言って去ろうとする先輩に、雪は咄嗟に声を掛ける。

しかし振り返った彼の横顔は、最近の彼のそれとは違い、冷ややかだった。



そして彼は振り返ることなく、呟くようにこう言った。

「君と一度食事することが、こんなにも大変なことなんてな」




カツカツと、革靴は高らかな足音を響かせながら遠ざかって行く。



雪はその後姿を、複雑な思いを抱えながら見つめていた。



その背中が小さくなるまで、その足音が聞こえなくなるまで‥。






同じ頃、亮は拾った携帯をポケットから出して眺めていた。

レストランで、淳の女が座っていた席に残されていたものだ。



どう見ても型の古いそれは、売っても金にはならなそうだった。

届けに行ってあの女から謝礼費でも貰おう、と亮は電源の切れた携帯をオンにする。



すると着信画面に、”不在着信七件”という表示が光った。

こいつも借金背負ってやがるのか‥と亮は何気なくその履歴を見る。

「ん?」



その履歴には、見覚えのある名前と番号が表示されていた。



”青田淳010ーXXXX”



青田淳の不在着信は四件もあった。

亮はそのままメール受信にある青田淳のメールを開く。

”気持ちは大分落ち着いた?元気だせよ!それじゃ又後で授業でな。” 
”うん、プリントは俺がもらっといたよ^^”  
”雪ちゃん、映画だけど午後のでも平気?”



その親しげなメールの数々に続けて、亮は写真フォルダを開いた。



亮の目に飛び込んできたのは、仲睦まじ気な二人の写メ。

にこやかな淳の笑顔を見て、亮は思わず叫んだ。

「ぎょええっ!なんじゃこりゃ!!」



しばし転げ回った亮だったが、しばらくすると冷静になってきた。



腕組みをして顎に手を置き、探偵宜しく今の状況を整理してみた。

淳の奴がヘラヘラいい顔しながら良くしてやってたのに、

あの女は「何の関係でもない」と言って、合コンに出た‥。




合コンに出たということは、彼女が淳のことを何とも思っていないということだ。

すると彼女の言い分は事実だったいうことで‥。

「なるほどねーん」



真実が一本の線に繋がった。

するとこれからのシナリオが、自然と見えてくるようだった。


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<誤解>でした。

あちゃー、先輩拗ねちゃいましたね。

雪が先輩に気がついて目を丸くしているコマ、日本語版では「幽霊?」と言っていますが、

本家版では「ターミネーター?」と言っています。



ダダンダンダダン、とあのテーマが聞こえてきそうですね! ^^


次回は<弁解>です。


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