Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

ミーティング

2013-08-23 01:00:00 | 雪3年1部(合コン~和解)
翌朝、雪はグループワークミーティングのため朝早くから大学に来ていた。

昨夜遅くまでレポートに取り組んでいたので、睡眠不足のあくびが出る。



すると教室の中から声が聞こえた。こんな時間から、もう誰か居るらしい。

雪が寝ぼけ眼で顔を上げると、青田先輩と出くわした。



雪と目が合った先輩は、「あ」と声を出して固まった。



雪も彼を見上げたまま、どうしてこんな朝早くから大学にいるんだと固まった。

しかし彼もまたミーティングの為に来たのだと思い至ると、たじろぎながらも彼に挨拶した。

「お‥おはようございます!」



彼は少し間を置いて、「あ‥うん」と返した。



その反応は、昨日よりも幾らか和らいだように思えた。

すると、青田先輩の後ろから柳先輩がひょっこりと顔を出した。

「よぉ~!赤山ちゃんらもここでミーティング?

やっぱ皆似たような時間にやるんだな~」




柳先輩はいつものペースで雪に声を掛けると、青田先輩と連れ立って行ってしまった。

雪はその後姿を見ながら、少しマシになった先輩の態度を感じていた。







教室に入って集合時間になっても、雪のグループは清水香織しか来ていなかった。

健太先輩に電話を掛けるも、音声案内に繋がるだけで電話に出ない。

雪はそのありえなさに声を荒げた。



続けて直美さんに電話するも、彼女も電車が遅れているとかで三十分程遅刻すると言った。

あと三十分したら、雪は一限目が始まるのに‥。



雪は呆然とした。期末の課題だというのに、奨学金が貰えるか否かの大事なところだというのに、

早くもお先真っ暗である。

項垂れる雪を前に、清水香織はオロオロと何も言えず困惑していた。

「‥とりあえず私達だけでも先に始めとこうか」



ようやく気分を切り替えた雪に、清水香織は安心したように頷いた。

たまたま‥今日だけだよね?



手で顔を覆い、溜息を吐く。

すると清水香織が「あたし昨日結構やってきたんだ」と鞄からプリントを出した。

どれどれ‥と覗き込む雪のことを、遠くの席から青田淳は見つめていた。



彼もまた、すぐ課題の為に呼び戻されてしまったけれど。









淳のグループでは、佐藤広隆が課題の進め方について提案しているところだった。

「まず国際協商の関連記事を五十件くらい集めて、

一人十二件くらい読んで分析してくることにしよう」




来週までにやってこよう、と続けた佐藤に、柳が露骨に嫌な顔をした。

しかし佐藤は譲らない。グループワークなんだから、これくらいは最低ノルマだと。



が、そこに淳が別の提案をしてきた。

それは佐藤の意見とは全く違ったアプローチ方法だった。

「それよりも、まずは二つの理論を十分に整理して理解した後に、

代表的実例を決めて協商目的とレベル1,2に進んだほうが良いと思うな」




「事例で量を埋めるよりは、理論を正確に理解してからそれを反映した方が説得力があるだろう?」

その意見に、佐藤は真っ向から噛み付いた。

国際協商の実例は星の数ほどある。他のグループだって多くの実例を用いてレポートを作成してくるだろうに、

自分たちのグループだけ実例一つ二つに絞るなんて有り得ないと。

良い人ぶるとこ間違えてるだろ、と佐藤は舌打ちした。



しかし淳の言い分も揺るがない。

どの道レポートの本論一を理論で埋め、その次に適用することになるのだ。

実例だけで量を埋めるよりは、少数の実例を協商論に当てはめてじっくり分析し、結論を導き出した方が賢明だと思うと、

佐藤の意見を柔らかくも否定した。



佐藤は苛立った。

何を言っているんだと言わんばかりに、淳の意見を嘲笑った。

「ハッ!まさか知らないとは言わないよな?

誰がそんな書き方をするって言うんだ!」




「皆スプリング嵌めるくらい分厚いレポートを提出するんだぞ。

近頃じゃ一年生だって徹底してやってるんだ。お前のやり方じゃ、俺らのレポートだけ薄っぺらくなってしまうんだよ!」


口調の強くなっていく彼を、淳は「佐藤、」と名前を呼んで落ち着かせた。

「‥教授が提示した分量は十ページ前後だ。

量が多いからって全て良いレポートになるとは限らない」




この授業の教授は、量が多くても分析内容が不十分だったら良い点数をくれない人だ、と淳は言った。

他のチームどうこうより、俺らは俺らなりに一生懸命やればいいと。

「だから敢えてこんな非効率的なやり方をする必要はないってこと」



淳は佐藤の意見をはっきり否定した。”非効率的”だと。




淳の言い分に、柳が全面的に賛成した。

もう一人の後輩女子も、淳の方についた。



佐藤の意見はそこでキレイに水に流され、

彼以外は何事も無かったかのように、淳の方針を元に計画を進め出した。



呆気に取られ、次第に曇って行く、佐藤の表情‥。





淳のグループが計画を進めている間、雪の方では清水香織の資料分析を読み解く作業中だった。



真剣に読む雪の横で、清水香織は一方的に話し掛けてくる。



持っている鞄の話をしてきたかと思えば、今度は雪にどこの美容院へ行ってるのかと聞いてきて、

挙句パーマとれてきちゃったからかけに行こうかと思ってると、

全くレポートとは関係ない話を清水香織はダラダラと喋り続けた。



当然雪は困り顔だ。しかも彼女の資料分析は抜けてるところが多く、雪はその欠点を指摘した。

「‥それはそうと、ここなんだけど協商目的は何かな?

小題目が”中国との協商”ってなってるけど、

中国と何を協商しようとしてるのか具体的に示すべきじゃないかな?」




それに加えて、レベル2の内容が圧倒的に足りなかった。

「もっと組み入れるべき要素があるはずなのに」と雪が指摘すると、

清水香織はみるみる項垂れていった。

自分なりに頑張って実例を集めてみたが時間が足りず、分析出来なかったんだと‥。



雪はただ、レポートの足りない部分を指摘しただけだったのだが、清水香織は暗く大仰に落ち込んだ。

雪が見かねて声を掛けようとすると、いきなり彼女は顔を上げた。

「雪ちゃん!ごめんね!次は絶対ちゃんとやって来るから!」



許してねと縋り付いてくる彼女に、雪は訳が分からぬままフォローした。

まだ時間はあるし、私こそ一生懸命調べて来てくれたのにとやかく言ってごめんねと、謝りまでした。



ガッツポーツで次こそはと意気込む彼女に、雪は「頑張ろうね」と言いつつ苦笑いだった。

いい子なんだが、どこかピントがズレている‥。




携帯が鳴り、メールを開くと直美さんからだった。

プラス20分遅れます



勿論健太先輩からも連絡が無く、もう一度掛けたがやはり音声案内だった‥。

だんだんと、心に暗雲が立ち込めて行く。

このグループ‥大丈夫‥だよね?期末なのに‥



積み重なっていく不安に、青ざめて行く雪。

「はぁ‥‥」



溜息を吐いた雪を、再び淳は見つめていた。

もう二回目の彼女の溜息。

淳は彼女の、その憂鬱を感じ取る。









雪が時計を見ると、もう一限目の始まる時刻が迫っていた。

清水香織に別れを告げると、鞄を背負って立ち上がる。

視線の先に、グループワークに励む青田先輩の姿があった。



雪はしばし彼を見つめ佇んだが、彼が彼女の方を向くことは無かった。



とにかく授業が終わってから、そしたらちゃんと面と向かって謝ろうと雪は心に決める。

そして一限の教室へと向かった。




あくびをしながら教室を出る彼女の後ろ姿に青田淳は気付き、

視線でその背中を追う。



「あ、あの‥」



淳は咄嗟に声を掛けたが、雪は気が付かずそのまま行ってしまった。

彼のそんな様子に、柳と後輩女子は課題に向かっていて気付かない。



淳の向いに座った佐藤だけはその様子を見ていたが、



当然なぜ淳がそんな行動を取ったのかは、知る由もなかった。


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<ミーティング>でした。

考えてみたら、なぜ3年の雪がグループ班長なんでしょう‥。成績が良いからという理由でしょうか‥。

クセのあるグループはまとめるのが大変そうですね。

青田先輩と佐藤先輩の因縁っぷりも目を見張るものがあります。

佐藤先輩は英会話自主ゼミの時もそうでしたが、単語も数をやりたがるしレポートも量重視の人ですね。

成績も良いみたいですが、雪の方が次席‥ってあれ?佐藤先輩は何番なんだろう??頑張れ佐藤!


次回は<その男、福井太一>です。

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