YUKI

言語、言語で表現できることすべて

倒置と情報構造

2007-09-30 00:56:05 | Weblog
Not until we lose our health do we realize its value.

この文を基にした並べ替え問題に答えられる生徒はごく少数です。
まして、どのようにして、この文が産出されたかは説明できません。
問題集の解答にも説明がないくらいですから。

E-gate という辞書には次のような主旨の説明があります。

We do not realize the value of our health until we lose it.
この文で強調のためにnotを文頭に移動すると倒置が起こります。
Not do we realize the value of our health....
次にuntil以下を前方に移動します。
このような現象は口語で、よく起こることです…
Not until we lose our health do we realize its value.

この説明は、倒置が主節内で起こることの説明にもなっていますが
なぜ、until以下が前方に移動するのか、触れていません。

これは、分類文法としての学校文法内の概念装置では
説明が困難だからです。
情報構造という概念装置を使って説明してみましょう。

情報構造上、文には特別な場所が2つあります。
文頭と文末です。
①主語以外の要素が文頭に置かれると強調となり、
 倒置が起こることがある。
②情報の焦点は文末にある。
 これ故、原則として文末に最も近い内容語に強勢が置かれる。
相反する二つの原則…文頭と文末の間で「情報の重み」による
綱引きが行われることになります。

Not が文頭に出ることにより情報の重みが文頭に移り
until以下が前方に移動したのです。

Never did I dream that he won the game.
ここでは that節は名詞節で、文の要素・目的語になっています。
文中の位置が比較的自由な副詞節に比べて
名詞節は自由度が少ないために、前方移動しないのです。

Hardly had I worn the ring before it was lost.
hardly は準否定であるため、before以下が副詞節であっても
引きつけるだけの「重み」がないと考えます。

つまり、not という強い否定語が文頭に置かれると
副詞節は、その「重み」に引かれて前方移動すると考えるのです♪
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