ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

私はそう、あなたは

2019-03-03 08:50:03 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題
「ドキリ」2月25日
 人生相談欄に、60歳女性からの『人を信じても裏切られる』と題された相談が寄せられていました。彼女は、『私はいつも人を信じて、裏切られます』と書き、その具体例として、また会おうねと言われたのに1年経っても誘いがないこと、自分好みの曲を勧めたとき聴くと答えた相手が聴いていなかったことを挙げています。この時点で、「あれっ、この人おかしい」と思いますよね。
 回答者の作家高橋源一郎氏は、『あなたは、もともと何も信じられない人間』とし、『裏切られるためには、深い人間関係が必要だとするなら、あなたは、裏切られたことさえない』『あなたは冷たく、わがままで、あなたの国にはあなたしか住んでいません。他の人間は、みんな、あなたのために存在する奴隷なのですね。そんな人間を、誰が「信じ」ようとするでしょう。あなたが心を閉ざしているから~』と厳しい言葉を連ねていきます。
 私は「近くにお立ち寄りの節は~」を真に受けて新婚家庭に押しかけて迷惑顔をされて怒るような「信じる人」ではありません。つまり、この相談者ほどの変人ではないつもりです。それでも、高橋氏に私のことを言われているような気がして、ドキリとしてしまいました。そしてこの相談者のような人、つまり私のような人は、ダメな教員に多いのではないかと思い当たりました。
 子供に対し、自分は教員だと一段上から目線で接するため、子供とは深い人間関係、信頼関係を築けない人です。それなのに自分だけは、子供と強い絆で結ばれていると誤解し、その場限りの子供の言葉を、心の底から発せられた言葉と思い込み、後になって勝手に裏切られたと怒り、子供を責める人です。子供にしてみれば、「先生」という立場に配慮し、その場の雰囲気を壊さないように、教員の顔を潰さないように、「大人の対応」をしただけなのに、その「好意」が仇となって返され、戸惑い、腹が立ち、そして教員と距離を置こうとするわけです。そしてその原因が自分にあることを自覚しない教員が、さらに「裏切られた」と怒りを募らせ、子供はさらに離れていくという悪循環が生じるのです。
 こうしたダメ教員は、高橋氏の指摘通り、心を開くことができない人です。猜疑心が強く、他人を信頼できないため、常に上辺の自分を見せることしかできません。対等な人間関係が苦手で、上下関係がはっきりとした中で初めて安心します。もちろん、子供は常に「下」です。本当に嫌な奴なのですが、本人は嫌われる理由が分かりません。
 人にはもって生まれた性格があります。幼少期の過ごし方も性格形成に大きな影響を与えます。大人になってから自分を変えることは難しいことですが、不可能ではありません。私は素晴らしい教員にはなれませんでしたが、自分の欠点に気付き、少しずつ変える努力をしてきました。だからこそ、クビにもならず、大きな問題を起こすこともなく教員生活を終えることができたのだと思います。この相談者のようなところが自分にもあると感じている教員は、そのことを自覚し、変わる努力を続けることが必要です。まずは、子供の話をたっぷりと聴くことから始めましょう。聴くだけです。評価を交えずに。
 
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