ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

事前調整なし?

2024-07-28 08:51:45 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「望ましいメッセージ?」7月20日
 『八王子の小中学校 仏料理の給食 好き嫌いせず食べよう 柔道・高市選手がメッセージ』という見出しの記事が掲載されました。パリ五輪開幕に合わせ、同市の小中学校の給食でフランスにちなんだ献立が提供され、同市出身でパリ五輪柔道代表の高市未来選手が食に関するメッセージを寄せたことを報じる記事です。
 記事によると、高市氏のメッセージは、『たくさん遊んでたくさん勉強するには、たくさんのパワーが必要です!そのパワーを出すにはしっかりと好き嫌いせずに食べることが一番です!』というものだったそうです。
 このメッセージは今でも正しいのか、それが私が最初に感じた印象でした。かつては、給食時に、「食べ物の好き嫌いはいけません。出されたものは残さず食べましょう」という指導が行われていました。
 私は好き嫌いの多い子供でした。みんながごちそうさまをした後も、一人だけ残され嫌いなおかずとにらめっこ、業を煮やした担任がスプーンで私の口におかずを押し込む、吐きそうになりながら飲み込むことができずいつまでもくちゃくちゃ噛んでいる私に向かって「早く飲み込みなさい。まだたくさん残ってますよ」と睨みつける担任。
 こんな光景が珍しくなかったのです。しかし、時代は移り変わり、好き嫌いは望ましいことではないが、必要な栄養素は様々な食品に含まれており、苦しい思い、嫌な思いをしてまで無理矢理食べさせることはない、という考え方に変わってきました。当然です。嫌いな物まで食べさせられることが嫌で不登校になってしまった、などということが起きては本末転倒です。
 また、好き嫌いとは別の話ですが、アレルギーの問題に対する理解が深まり、人によっては食べられない食品があることがふつうのこととして理解されるようになってきました。また、宗教上、思想上の理由などから、特定に食物は口にしないということも権利として認められるようになってきました。
 とはいえ、低学年の子供にとっては、好き嫌いで食べないこととアレルギーや宗教上・思想上の理由で食べないこととの区別がつきにくいこともあり、「○○さん、ずるい!」というようなトラブルが生じてしまうこともあります。そうしたことを防ぐ意味からも、学校現場では、出されたものは何でも全部食べることを強制するのはよくないことという理解が浸透しつつあります。
 そうした中での、高市氏のメッセージです。教委や学校は、どう受け止め、子供に説明したのでしょうか。事前に調整はしなかったのでしょうか。気になってしまいます。

 

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