ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

教員側からも働きかけて

2024-03-11 08:16:29 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「欲するものを」3月4日
 『本屋大賞、児童書が初ノミネート』という見出しの記事が掲載されました。『「人生で初めて読むミステリー」がコンセプトの「放課後ミステリークラブ 1金魚の泳ぐプール事件」(ライツ社)が、児童書として初めて本屋対象にノミネートされた』ことを報じる記事です。
 著者はミステリー作家知念実希人です。同書は、『知念先生の作品はとても人気があり、サイン会では感激して泣いている中高生もいる。さらに低年齢を対象にした作品があれば、本好きな子供が増える』というある書店長の思いが発端となり生まれたそうです。知念氏も『絵本から本へ移り変わる年齢で読まなくなる子が多い。読書の楽しさを知ってほしいという理想の実現を手伝えるのではないかと思った』と語られています。
 知念氏指摘は、私も感じていました。絵本から本への移行が上手くいかない子供を数多く目にしてきたからです。5年生の学級の読書の時間に補教に行く機会が数回ありました。そのとき、何を選んでよいかわからないと言って、低学年用の絵本を手に取る子供が何人かいたのです。
 面白いから、あるいは簡単だから絵本を取ったのではなく、低学年のときに読んだ絵本以外に知っている本も作者もないというのです。だから馴染みのある絵本に、ということだったのです。中学年の時期が読書空白期として存在し、子供を読書から遠ざけていたのです。
 子供が本に親しむことの意義は多くの人に共通理解されています。そして、様々な手立てや方策が考えられています。しかし、事実は単純でした。知念氏の試みがそれを証明しています。子供が読んで面白い本があればいいのです。
 振り返ってみると、学校の図書室には、小公女や母を訪ねて三千里、十五少年漂流記など私の子供時代からある「古典」以外には、面白い本が少なかったように思います。私は本好きな子供でしたが、そのきっかけはホームズ全集でした。たまたま行った児童館の図書室にあったシャーロックホームズ全集の一冊を読み、すっかり虜になり、毎日のように通って、20冊読み切ったのです。理由は面白かったから、それだけです。上質なミステリーは、子供にとっても面白いのです。
 学校図書館以外に、読書経験の少ない子供が本に触れる機会としてあるのが、国語の教科書です。でも、面白くありません。低学年のころは牧歌的な作品が多く、それはそれで発達段階にあっていると思われますが、高学年になるとつまらないのです。重い内容が多いのです。知的な刺激に乏しく、生命の尊さ、一つのことをやり抜く大切さ、愛する人を失った悲しみと再生という感じで、一言でいえばためになる話ばかりなのです。
 ミステリー、初恋の話、小さな悪行、性の悩み、そんな内容の物語があれば、小学校故学年の子供は何も言わずとも本を手に取るようになると思います。図書館教育を研究する教員の皆さん、小説家の方々への何らかの働きかけを考えていかがでしょうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 強くも逞しくもなかった | トップ | もう、大嫌いだ! »

コメントを投稿

我が国の教育行政と学校の抱える問題」カテゴリの最新記事