「外国人も認めた」7月23日
映画監督ロジャー・パルバース氏が、『学校と私』欄でインタビューを受けていました。4人の子供を日本の学校に通わせたパルバース氏は、『日本の幼稚園、小学校の教育はとても素晴らしい』と語っています。そしてより具体的に、『日本の場合、子どもに自分のことよりも他者のことを考えるようにしっかりとしつけをします』と語り、学習面でも優れているとして、『豪州の大学に勤務することになり、子どもたちは地元の中高に通ったのですが、日本で学んだ数学のレベルが高くて、2、3年、宿題をしなくても、授業についていけたくらいでした』と述べています。
また、『一方、日本は子どもが大きくなればなるほど、手かせや足かせが多くなり、自由な発想を阻害するという悪弊もあると感じました。欧米とは逆で、高校、大学と先に進むにつれて、教育の質が落ちていく印象です』とも指摘なさっています。
私がこのブログで再三にわたって指摘してことと重なります。私は同じ考えを、欧州5カ国の教育視察、親しい友人の英国半年留学(初等教育の教員として)レポート、中高の歴史教員との合同研究発表などを通して感じていました。いずれも、20~30年ほど前の知見です。その時期は、パルバース氏が、我が子を日本の小学校に通わせていた時期に重なります。昭和末から平成初期の期間の我が国の初等教育は、生活指導面でも、学習指導面でも充実していたのです。
しかも、他者への配慮などは、歩きスマホや電車内での化粧や食事など、周囲の人への配慮を欠く行為が指摘される現在、非常に重要な教育課題ですし、数学の学力も、理数系の学力向上に重点をおく改革が行われている点からすれば、主要な教育課題とみなしてよいでしょう。つまり、かつて我が国の初等教育にあった「良さ」をここ20年余の間違った教育改革で失い、改めて失った「良さ」を取り戻そうとして、またたな改革」を始めているということなのです。
目先を変え、とにかく何だか分からないけど今まで出来なかった改革を推進しているという印象を振りまくことが目的であるかのような改革、木に竹を接いだような我が国の学校教育の伝統を無視した改革、「教育は死んだ」というような「良さ」を無視した全否定から始まる改革を見直し、学校教育の正当な評価に基づいた改善を地道に進めていくという姿勢が待たれます。
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