「資金提供」6月9日
『菅前首相の高校後援会 中止 神奈川県教委「参院選に影響」抗議殺到』という見出しの記事が掲載されました。『神奈川県教育委員会は8日、県立瀬谷西高校で13日に予定されていた菅義偉前首相の講演会を中止すると発表した』ことを報じる記事です。
記事によると、『学校や県教委には「夏の参院選の投票行動に影響が出かねない」などの130件を超える抗議の電話が殺到していた』とのことです。『選挙権を持つ生徒もいることを考えると、講演は選挙活動と受け取られかねない』という識者の見解も紹介されていました。
もっともな指摘だと思います。ただ、この指摘とは別に、私にはある疑問が浮かびました。それは、菅氏に対する講演の謝礼はいくらだったのか、ということです。教育委員会には、講師謝礼に関する規程があるはずです。大学教授ならば~、准教授ならば~、民間企業の管理職ならば~、など1時間を単位として額が決められているのです。
私は、教員時代に勤務校で、周年行事に学校とPTA共催で講演会を企画したことがあります。その区の出身者である某有名人、後の国会議員になり知事も務めた人物に講演を依頼したところ、50万円という謝礼額を提示され断念した経験があります。また、教委に勤務するようになってから、教員向けの研修会に元横綱で相撲協会会長を務めていた人物に講師を依頼したことがあります。当時の講師料の上限は、著名な大学教授級で1時間12000円でした。特別に総務課長に掛け合い、1時間5万円、2時間で10万円という「破格」な額を確保しました。その額で交渉したところ、「この俺に10万だってさ」と大笑いされてしまいました。ゼロが一つ違っていたのでしょう。
そんな経験があるからこそ、前首相である菅氏に対しては、一体いくらの謝礼が用意されていたのかと思ったわけです。もしそれが、数十万というような額であれば、公費による政治資金提供に近いことになるのでは、と考えてしまったわけです。
まあ、少し考えれば、前首相がそんなはした金を受け取り、批判されるような愚を犯すはずがないことは分かりますが。ちなみに、前出の元横綱も、大笑いはしましたが、講演自体引き受けてくれましたから。しかし、政治とカネの問題については限りなく透明性が求められています。税金を原資とする公金の支出についても同様です。
生きた政治について学ぶという意味では、政治家に話を聞くということは大いに意味のある学習機会になるはずです。学校や教委における政治家への講演依頼については、予め謝礼金等も含めて公開するようにするべきだと思います。