ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

同じ日に正反対の

2013-12-27 06:48:31 | Weblog
「同じ日に」12月21日
 同じ日に全く異なる立場を示す2つの記事が同じ全国紙に掲載されました。紙面は違うのですが、おもしろいと感じました。一つは森忠彦記者による『とにかく英語に触れる』です。その中で森氏は我が国の国民の英語力向上について、『非英語圏ではもっとも上手な英語を話す北欧の人たちに理由を聞いたことがあります。「子どものころから家でアニメ放送(字幕入り)を見て育ったからね」。そうか、ドラえもんやサザエさんに英語をしゃべってもらえばいいのか!?』と書いています。
 一方、ブラジル・サンパウロの朴鐘珠記者はサンパウロの状況について、『日本でよく使う単語を含め英語をほとんど見聞きしない~(中略)~万人が理解できない英語を使うことへの違和感、抵抗感がある。翻って東洋の日本。商品名、企業名、広告、果ては縦書きの新聞にまでカタカナがあふれる。英語は格好良いものとの意識を幼少期からすり込まれた人々に英米、とりわけ米国お肯定する価値観が自然と養われてても不思議ではない。ときに日本が米国の属国と言われるのも、横文字のまん延とあながち無関係ではないだろう』と書いています。
 朴氏は、ドラえもんやサザエさんが英語をしゃべるようになったら、「日本はついに米国の属国になった」と驚くかもしれません。森氏は、ホットドッグを「熱い犬」としてメニューに載せるようになったら、英語を禁止した戦前への回帰だと非難することでしょう。
 最近の我が国では、政治家も企業家も英語力向上一辺倒です。教育界からも異論は聞かれません。しかし、世界的に見れば、ブラジルのような考え方の国もあるのです。また、より長期的なスパンで見れば、世界の覇権国がスペインから英国、そして米国と推移してきたように、今の小学生が社会の中核を担う20年後、30年後には中国やロシア、ブラジルやインドといった国の言語が「格好良い」ものになっているかもしれないのです。まあ可能性は低いと思いますが。
 ただ、我が国の英語教育推進の発想が、近視眼的、経済的な利益重視型に偏り、国のあり方や文化伝統の維持、歴史的な視野などからのダイナミックな発想にはなっていないような気がするのです。将来的な我が国の形を睨んだ英語教育論議になっているのでしょうか。

コメント
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