ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

もっといるはず

2013-12-20 07:14:31 | Weblog
「もっといるはず」12月16日
 深尾昭寛記者が『学び直し』という標題でコラムを書かれていました。その中で深尾氏は、ご自身の体験として『勉強出遅れをとり、一人もがいたが追いつけず、時計の針を見つめて過ごすしかなかった』『私は先生に指名されないよう気配を殺しながら~』と授業についていけない苦しみを述べた上で、大阪府の新しい試みを紹介しています。
 『大阪府教委は10日、昨年度の府立高の中退者数を発表した。中退した2081人のうち「授業に興味がわかない」ことや「学業不振」が理由だった生徒の数は、全体の約4分の1だった。府教委は「学び直し」に着目した高校「エンパワメントスクール」の準備を進めている』というものです。東京都教委の実践を10年遅れで取り入れるということで、遅きに失した気もしますが、とりあえず一歩前進でしょう。
 私は、いじめや不登校対策として、中途半端なキャリア教育への批判として、授業の質的向上、分かる授業の実現の大切さを主張してきました。詳しい内容は、このブログの以前の記述をみていただきたいと思いますが、要約していえば、学校で起きている諸問題の根底には子供のストレスがあり、そのストレスの最大のものが「授業が分からない」ということであるという主張です。
 深尾氏も述べていますが、教員に指名されても答えられないという恐怖に怯え、みんなの前で恥をかかされるという屈辱に甘んじつつ50分間座り続けることは耐え難いストレスです。それが1日のうちに6回も繰り返されるのです。このストレスを発散するために、内向的な生徒は不登校になり、外向的な生徒はいじめにはしるのです。
 また、就職後短期間で離職するのは、中卒者、中途退学者に顕著な傾向であり、中途半端なキャリア教育に時間と労力を費やすくらいならば、分かる授業に注力して学業不振者を減らし、中途退学者を減らすことが必要だと主張してきたのです。
 そうした意味で、深尾氏の記事には、勇気づけられる思いです。ただ、記事にある「1/4」という数値には疑問があります。私の経験からすると、中途退学の理由のほとんどに「学力不振」が関係していると思います。表面的には、非行や怠学などの理由であっても、そもそも非行や怠学の原因に「学業不振」があると考えるからです。
 深尾氏には、その点についてより突っ込んだ取材と追跡記事を期待したいものです。それが、学校における授業の重要さを再評価する動きにつながれば嬉しい限りです。

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