ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

誇りは不要?

2013-12-08 10:10:48 | Weblog
「どれが正しい?」11月30日
 米ハーバード大名誉教授の入江昭氏が、『国境を越えた市民連結を』という標題で寄稿なさっていました。その中で入江氏は、『グローバル人材とは、国家的意識に左右されず、世界のどこに行っても通用する~』と述べ、『そのような人々を育成するためには、国内の教育をグローバル化する必要があり、幼時から諸国の人たちとのつながりを尊重するような習慣を作っていかなければならない』と主張なさっています。
 さらに、『日本人に自国への誇りを抱かせるとかいった、一国中心の考え方ではなく』とも述べています。入江氏の掲げる「グローバル人材」とは、現在教育改革の場で議論されている「国際社会で広く活躍する日本人」像とはかなり違います。
 一番大きな違いは、入江氏が、「幼時から」始めなければならないと主張している点です。グローバル化への対応と言えば、まず英語教育という発想の人が少なくありませんが、そうした人たちでも、小学校への英語教育導入を主張しており、幼稚園段階での英語教育を叫ぶ人はほとんどいません。外国人との触れ合いをセールスポイントにする幼稚園も非常に少ないのが現状です。現在、義務教育の前倒し実施が検討されていますが、そこで話題になっているのは、幼児期の躾であり、外国人との触れ合いではありません。
 また、入江氏が、自国への誇りを重視していないという点も斬新です。このブログでも紹介してきた識者は、「自国の文化や歴史について語ることが出来る」ことを国際人の資格としてあげる方が多かったものです。私自身もそうした考えです。そして、現在安倍首相と下村文科相が中心となって進めている保守派による教育改革も我が国の伝統や文化への理解と誇りを重視しています。ある意味全く逆の主張なのです。
 教育改革論議において、キーワードの一つとして使われているグローバル化へ対応できる人材についてさえ、様々な捉え方があるとすれば、一つ一つの概念について、関係者の間で共有されているのか気になるところです。曖昧模糊とした玉虫色の改革案がまとまり、それを一部の人が自己流に解釈して我田引水のような形で改革を進めるなどということがないように願いたいものです。
 
コメント
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