わくわく活動日記

山本ゆきこ~子どもこそ未来

井上ひさし著「ボローニャ紀行」ー「ボローニャ方式」は究極の民主主義

2010-04-18 23:08:04 | 市議会
 新聞の書評欄で見かけ、最近買っておいた「ボローニャ紀行」の文庫版がコンパクトなので、ハンドバックに入れておきました。待ち時間の合間に読み始めたところ、「ボローニャ精神」「ボローニャ方式」が体現するところの、徹底した住民自治による究極の民主主義に思わず引き込まれてしまいました。そういえば、最近著者の井上ひさしさんが逝去されたのだった、と思い出しました。議員という立場から、「まちづくり」のありようについて大きな示唆を得ることができました。以下、抜粋です。

★イタリアの教育
・ボローニャ大学:ダンテ、コペルニクス、ガリレオなどを輩出
・イタリアの義務教育:1クラスの定員25人で3人の教師が担当(なんとうらやましい!)
           授業の内容や方法は、教師の腕と工夫に任されている。
・イタリアの教育:入学試験はない。卒業資格があれば上へ進むことができる。高校卒業資格試験を通ったら希望する大学へ登録する。ほとんどが国立大学で、授業料は年間13万円。
単位取得試験は、すべて筆記と口述の併用。口述試験は公開で、たくさんの見学者が押し掛けてくる。<例>講義に関する質疑のほか、5,6冊の著書に基づく質疑応答が約40分行われる。学生たちは学説の基本的理解を求められ、争点についての意見や批判も求められた。

★元祖「創造都市」ボローニャ
ボローニャの街づくりのやり方を「ボローニャ方式」といい、世界のあちこちの都市が手本にしている。
・車を追い出して、都心全体に41の劇場と50の映画館の網をかける。
・旧い家畜市場を老人と学生と幼児とが終日一緒に過ごすことのできる施設に改造する。
・旧い証券取引所を座席数900席の図書館に改造し、だからといって今ある市立図書館も廃止しない。
・女子修道院を女性図書館に改造し、さらにそこにヨーロッパの女性問題研究センターにする。
・旧いたばこ工場を世界一の映像センターやフィルム改修センターに仕立てあげる。
・歴史的建造物の外観は修復補修して、その内部を学生と老人のための住まいにする。
・ホームレスの人たちに市営バスの車庫を与え、そこを街の清掃センターにしてモノと人との再生を図る。
・旧い農園を障害児たちに与えて自立を試みさせる。
・車や絵本の見本市や子ども音楽祭を催して国の内外から人を集めて町の名前を知ってもらおう。
 いずれの場合も住民と大学が発案し、憲法で保障された社会的労働組合という制度を使いながら行政に協力させる。
・・・新しいことにはどしどし挑戦するが、そのときでも過去の蓄積はきちんと生かして、むやみに規模は広げない。旧い建物を壊さずに、現在の用途にあわせて都心を再生する。そうやってまた新しい価値を生み出して、地元の市民のために、そして世界の市民のために、日常の流儀を豊かにしてゆく。それが<創造都市>の中身なのではないか。

★地区住民評議会ー住民自治の確立
「中央政府というやつはとにかく信用がならん。だからこそ、自分の住んでいるところが、自分の街がしっかり自立しなくてはならんのだよ」
市から年間7億円の予算を得て地区のために活動する、市の予算編成権を持ったボランティア。週1回、公開で開催。1回あたり5千円の手当のみ。
<評議議会の仕事>
地区内の公共事業の計画、そして公共施設と公共緑地の計画、さらには保安と教育の有効な実施方法、加えて社会、教育、文化、スポーツ、レクリエーション施設の使用などについて、市に提案する権限を持つ。またそれらについての予算案を作成する。この予算案は、市の予算の編成の際における優先事項になる。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ボローニャ (たっぷ)
2011-04-25 11:18:13
はじめまして。ボローニャ方式で検索したらこのページを見つけました。
僕も井之上久さんの本からボローニャを発見した一人です。旅行で訪れたときには感じのいい大学の町だというぐらいにしかおもっていなかったのですが・・・これからの日本にもおおいに参考になりそうですね。大阪の橋本さんの動向や、これからの東北の復興の過程で、どういう新しい日本が作っていけるのか、僕自身もその一員としてがんばってゆこうと思います。
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