わくわく活動日記

山本ゆきこ~子どもこそ未来

子どもの貧困

2009-07-04 23:40:45 | 福祉・社会保障
 阿部 彩著「子どもの貧困ー日本の不公平を考える」(岩波新書)が昨年11月に発行され、大きな反響を呼んでいます。

<著者プロフィール>
国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長

<本書の概要>
★日本の子どもの貧困をめぐる状況
①国際的にみた場合、日本の子どもの相対的貧困率はかなり高い部類にあり、特に母子世帯のそれは突出して高いこと
②親の学歴と子供の学力との間にはかなりの相関がみられ、その他さまざまな「貧困の連鎖」が存在すること
③日本の子どもの貧困率は税・社会保険料の再配分によってかえって悪化していること

★解決のための提言
 「少子化対策」ではなく、「幸せな子ども」を増やす「子ども対策こそが必要
①就学援助や児童扶養手当、生活保護など家庭そのものへの援助を拡大する
②フランスやスウェーデンのように高校、大学の教育費無償化を目指す

 7月3日のニュースで、大学・短大の経済的な理由による中退者が7,700人を超えたとの報道がありました。

 そして、母子家庭でアルバイトをしながら奨学金を受給して学業を続けていた学生さんが、母の入院をきっかけに大学中退を余儀なくされたという具体例も報じられました。奨学金をもらっていても、将来正規の仕事に就ける保証もなく、奨学金返済のめどが立たないという理由でした。学びたいのに学び続けることができない、彼女のその無念さに胸が詰まる思いがしました。

 日本では「奨学金」といっても、給付型ではなく貸与型です。

 私の学生時代は、国立大学の授業料は月3千円、2年くらい前は月千円で、当時、「学費値上げ反対闘争」が起きたそうです。今から30年以上も前で物価も違うとはいえ、当時、家からの仕送りなしでもアルバイトをして奨学金をもらい、卒業した学生もいました。

「貧困の連鎖」を断ち切り、「人生のスタートラインにおける平等」を実現すべきです。

 文科省の有識者懇談会は3日、家計に占める教育費負担の軽減策について報告書をまとめ、2010年度予算概算要求に提言内容を反映させる方針であるとの報道がありました。高校の修学支援、幼児教育の無償化などが盛り込まれています。ぜひとも実現されることを望みます。

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