ユーチの気まぐれ日記

感じたこと、考えたこと、記憶に残った出来事を気まぐれに更新しています。

全生園の桜

2008-04-06 23:24:35 | 日々あれこれ
今日は多磨全生園でのお花見でした。
今年も全生園の桜をみんなで見ることができました。

毎年恒例のお花見、今年は満開を通り越して散り始めていましたが、お天気にも恵まれ舞い散る花びらが日差しを浴びてキラキラと輝きとても素敵でした。
すぐ横に咲く菜の花とのコントラストもまたすごく良い。
毎年集まる顔、何年ぶりかに出会う顔、初めて出会う顔・・・
クラスメイト、先輩、後輩、先生、旦那さんや子ども連れもと顔ぶれも色々。
通信制高校のサポート校つながりのメンバーですが、初めて会った方とも昔から知っていたかのように会話ができる不思議な関係。
桜の木の下でみんなで持ち寄ったお弁当を広げておなかもいっぱい。

ゆっくり桜の花を楽しんだ後はこれまた恒例のハンセン病資料館へ。
昨年リニューアルして、新しくなってから私は2回目。
今日はいつもこの会を主催してくださっている先生のお知り合いの平沢さんの計らいで、映像室でハンセン病に関するアニメを見せていただくことができました。
子どもたち向けに平沢さんが書いた「ぼくのおじさんは、ハンセン病-平沢保治物語-」という著書が原作の「未来への虹-ぼくのおじさんは、ハンセン病-」という30分ほどの作品。
短い作品なのにポイントをしっかり抑えて良くまとまっていて、初めてハンセン病を知る導入にもすごく良い作品になっていると感じました。
内容もすごく心に響くものがあって、絵も声も本物の平沢さんによく似ていました。
そしてエンディングのテーマ曲「しあわせについて」からも訴えかけられるものを感じました。
団体で上映したいときなど各都道府県の教育委員会で借りられるとのことでしたので、学校の教材としても良いかもしれませんね。

初めて全生園を訪れたのは確か、高校2年のときだったかな。
サポート校の選択授業のCCSが始まりだったように思います。
そして3年生のときに初めてお花見に行って、それから毎年参加。
それまでは正直、ハンセン病について名前すら知らなかったんじゃないかと思う。
でも、この授業をきっかけとしてハンセン病について知ることができて良かったと思っています。
大学の社会福祉学科の授業でもほんの少しだけ触れることがあったけれど、高校時代の出会いがなければもしかしたらすっと通り過ぎてしまう話だったかもしれません。
でも、この出会いがあったから、より深く知り、考えることもできました。

ハンセン病はとても感染力の弱い病気です。
今では新に感染する人は年に1桁台、たとえ感染したとしても発病することは稀で発病したとしても容易に治る病気になっています。
当初は栄養状態や衛生状態も悪かったこと、特効薬となる薬もなかったことで状態が悪化する人も多かったのですが、1943(昭和18)年には特効薬にプロミンという薬ができ、ハンセン病は完治する病気となりました。
けれど特効薬ができ病気が治癒するようになった後も何十年と「らい予防法」による隔離政策が続けられてきたのです。

そのため、たとえ治癒した人であっても療養所から出られない。
親や兄弟と一緒に住んだりはもちろん、外出してふるさとに帰ることもできない。
結婚しても子どもを持つことが許されず、結婚するためには子どもを作れない身体にならなければいけない。
亡くなった後でさえも故郷のお墓に埋葬してもらえない。
家族に迷惑がかかるから実名も名乗れない。
という時代が続きました。
「らい予防法」が廃止されたのは1996(平成8)年のこと、つい12年前のことです。
諸外国で隔離政策はとっくの前から無くなっていたのに、日本だけはここまで続けたのです。
これは国も過ちだったと認めているる事実です。

国による隔離政策は人権など完全に無視したものだったと感じます。
隔離された患者さんは療養所内から出ることを許されず、その中で仕事もさせられました。
お金も取り上げられ、園内でしか使えない園内通貨に取り替えられました。
農業から物づくりから、患者さんの面倒も症状が軽い患者さんがみる状態だったのです。
そして、脱走しようとしたりして掴まれば独房に入れられてしまう、「療養所」という名前からは想像も出来ないような実情がありました。
また、らい病(ハンセン病)は怖い病気という認識が根強く広まってしまったために、患者が出た家の家族が村八分の目にあうこともしばしばだったようです。
強制隔離が行われたこと、症状が進むと顔や手に変形が出ることから、人々の中に不治の怖い病という認識が広まってしまい、隔離政策が長く行われたことで未だにその認識が消えないで残ってしまっています。
法律が廃止された後の2003年にいたっても元患者さんに対してホテルでの宿泊拒否がありました。
元患者さんは完治しているのだかららい菌を持っていることもないし、感染することもないのに。

法律がなくなり10年以上がたつ今、元患者さんたちの活動などによって少しずつ正しい知識は広まりつつあるようですが、まだまだ差別や偏見は色濃く残っているようです。
一人でも多くの皆さんにハンセン病について正しい知識をもち理解して欲しいと思います。
ハンセン病の元患者さんたちが当たり前の生活が当たり前に送れる社会となるように・・・。
この記事を読んでくださった方、これをきっかけにぜひハンセン病について正しく知り、正しい理解をしてください。
桜の舞い散る多磨全生園で改めて感じた私の思いです。