©読売新聞
未来のエネルギー広がる契機に…「脱炭素」へ、合成メタンの実証設備など最新の技術続々 読売新聞 2024/09/28 06:00
来年4月に開幕する大阪・関西万博では、二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロに抑える「カーボンニュートラル」の実現につながる最新の技術が披露される。
その目玉の一つが、会場の南東に設置される「カーボンリサイクルファクトリー」だ。CO2と水素からメタンを合成する「メタネーション」と呼ばれる技術の実証設備が核となる。
メタンは燃やすとCO2が発生するが、原料のCO2と相殺されるため、大気中のCO2は増えないとされる。政府は2050年までに、都市ガスの9割を合成メタンに置き換える目標を掲げている。実証設備は、大阪ガスがすでに会場隣の人工島・舞洲(大阪市此花区)に整備しており、今夏から会場内に移設を進めている。合成したメタンは迎賓館の調理場で使うガスなどに利用されるという。
原料のCO2は「地球環境産業技術研究機構(RITE)」が大気中から回収する。ファクトリー内に設けるファンで大気を取り込み、吸収材にCO2を吸着させる。排ガスに含まれるCO2や会場内の生ゴミを発酵させて出たCO2も活用する。
会場には、薄くて軽く曲げられるフィルム型の「ペロブスカイト太陽電池」も登場する。バスターミナルのシェルター(屋根)に約250メートルにわたって取り付けられ、発電した電力は夜間、LED照明に利用する。
1970年の大阪万博では、当時、「夢のエネルギー」として注目された原子力発電の電気が会場内に届けられた。万博を契機に新たな技術が世界に広まるか、期待が高まっている。
<プレーバック 1970>別れ惜しむ胴上げ
「人類の進歩と調和」をテーマとし、アジアで初めて開催された1970年大阪万博は9月13日、183日間の会期を終えて閉幕した。入場者数は、当時万博史上最多となる6421万人を記録し、2010年の上海万博(7308万人)まで破られなかった。
参加国は77か国にのぼり、会期中に73回のナショナル・デーが開かれた。催しも多彩で、計2880回の公演が開かれた。1日の最多入場者は9月5日の83万6000人。期間中の迷子は4万8100人にのぼった。
閉会式には、皇太子ご夫妻(今の上皇ご夫妻)らも出席された。パビリオンのコンパニオンらがパレードで別れを惜しんだ。夜にはお祭り広場で、胴上げする姿も見られた。