ほぼ週二 横浜の山の中通信

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株の話―その2 世の役に立たない強欲なウォール街の本

2016年04月09日 | 社会・経済

2016年4月5日の「株の話―その1 「貯蓄より株へ」とならないのは損する人が多いから」の続きです。

 

M氏が「面白いよ」と本を二冊紹介してくれました。一冊目はFX(外国為替証拠金取引)に関する本ですが、株にも参考になるということです。

 

  • 「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」富田公彦 2015年

 

著者は元為替ディーラーです。要約すると、素人がFXをやるのは、自動車レースのF1に市販車で参戦するようなものということ。専門家と素人ではツールが格段に違うので、素人は最初から大きなハンディを持って戦うようなものだそうです。

それでも、宝くじに当たるような確率で素人が勝つことがあり、その時は大儲けできる。この本は私も読みましたが、参考になるし、納得できる話でした。

 

ただし、外国為替は銘柄が数種類しかない?のに、株は何千銘柄と格段に多いことに違いがあると思う。

 

  • 「フラッシュ・ボーイズ」マイケル・ルイス 2015年

 

この本は、アメリカの「ダークプール」と呼ばれる、ニューヨーク証券取引所やナスダックといった名の知れた取引所ではない取引所(闇ではなく合法的、かつ複数ある)がメインの話です。そのような取引所の一つに巨額の注文が出た場合、その巨額取引が別の取引所にも来ていると推測して、その取引所にも注文が来る前の数ミリ秒や数百マイクロ秒だけ先回りして株価を変動させて儲けを得ている人たちの話です。

 

彼らのやっていることは、何の役にも立たないのに、奴らは巨額の報酬を得ている。これらの本を読むと、アメリカ人は金を儲けるために生産性の上がらない、かつ正々堂々としたピンハネ競争をしているなあと思います。こういうのがアメリカ人というかウォール街の人なのでしょう。

 

もっとも、この本に出てくる話は、東京証券取引所が圧倒的なシェアを持っている日本では(今のところ)成り立たない話ではあるし、M氏のように雀の涙ほどしか取引しない零細な個人投資家にとっては関係のない話です。

 

私も勧められて「フラッシュ・ボーイズ」を半分ほど読みました。面白いドキュメンタリーとは思いますが、自分とあまりに関係のない話なので途中で飽きてしまいました。

 

アメリカ人とひとくくりで言うのは正確ではないでしょうが、金儲けのために隙間を見つけようと血眼になり、隙間を見つけると人の先回りをして解決策を探すために膨大なエネルギーを使う(そのエネルギーの大半は無駄になっている)連中が存在するというアメリカはそのうち滅びるでしょう。性格が似ているので、ついでに中国も一緒に滅びてくれるとありがたいのですが。

 

(追記)

本日の新聞に、「金融庁が『超高速取引(HFT)』の規制に乗り出す」と言う記事が出ていました。これは、「アルゴリズム」と呼ばれるコンピュータープログラムを使い、株の売買を自動的に行う取引で、朝日新聞によれば、東京証券取引所で成立する取引の4割(他のメディアは7割とか6割とか書いているので、実態はわからないのでは?)を占めているそうです。

東京証券取引所での「超高速取引(HFT)」は、「フラッシュ・ボーイズ」のような複数の取引所を利用した「からくり」では無さそうですが、具体的にどのような「アルゴリズム」なのか、興味があります。もしかしたら、自分でも儲けられる? 勉強するようM氏に言っておきます。

 

2016.04.09

 

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