「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「訃報」

2023年06月18日 | つれづれ噺

                                                             

戦後復興を形にするとこれほど顕著なものはない、それがガソリンスタンド(S・S=サービスステーション)であると言われた昭和30年代初めごろ、地域で最初のガソリンスタンド経営を始めた先輩。年は4つ、学年は3級上で何かと兄貴分的な地域の名士である。そんな先輩の奥様の訃報を知らされた。それも亡くなられてから約2か月も過ぎた昨日、先輩ご本人の口から聞かされた。あれほど付かず離れず、給油に行くたびに二階の事務所でコーヒー頂きながらよもやま話する仲であったのに。

4月半ばからももちろん給油には何度か行ったが、セルフ方式でもあり社長である先輩の姿が見えなければ、ただ黙って給油して帰ることもあった。そんなことから、なんと2か月近くも顔を合わさない不運が続いていたことになる。
奥様は数年前に悪性腫瘍が見つかり、遠方の専門医、近くの専門医などによる治療を継続されていた。たま~に差し入れする我が家手製の岩国寿司をこよなく愛してもらっていた。こちらからの差し入れが間延びすると、わざわざ遠くのお店に岩国寿司を買いに行かせるほどだった・・・と聞かされた。

そんなことを早く知っていればもっともっと頻繁に差し入れできたのに、と悔いても時すでに遅し。今日住居にお邪魔して、遺影に手を合わせ、ご神前にしのび手による拝礼を捧げた。その後私たち夫婦と3人でコーヒーを頂きながら思い出話に及んだ。
奥様はご自身の寿命を察知しておられたのか、自らの葬儀の内容、連絡すべき人、遺産分与ほか詳細に至るメモや日記みたいな文を、綿密に手書きで残されていた。実物を見せて頂いた。ほかならぬ奥様から見たご主人の性格や生活ぶりを察して、葬儀その他にうろたえないよう事細かにメモを残されたのであろう、そんな愛溢れる夫婦がこの世にある、しかも目の前に現物がある、これは改めて目頭を押さえた。

享年79歳という若さ。「九の坂を超えられなかったねーこの8月が満80歳だったのに」先輩が静かにつぶやく。家族ぐるみのお付き合いの中で、常に穏やかに優しく接していただき、妻同士の静かな旦那の棚卸談義も弾んでいたようだ。
今の時点では気持ちも張っているのだろう若さが見られる先輩であるが、年に不足はない。もっともっと近しく付き合わせて頂こう。そんなつもりでいたら、なんと先輩の一番下の孫が中学1年生で、我が家の孫君の一級後輩で同じ中学校の野球部員だという。今年の秋からは互いにレギュラーとして頑張ることになる。ということは私たちジジ同士が孫の追っかけ応援を一緒にすることになった。すこしでも近くにいて互いを応援し合う共通理解の友が一人増えた気がしている。孫の応援と互いの元気を応援し合える先輩後輩でいたい。

 

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