「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

アーカイブ随筆 6

2009年03月10日 | 趣味・・エッセイ
「沈丁花の咲く頃」 1977年4月号 工場ニュース やぶにらみ随筆デビュー!!。

『 厳しい寒さが峠を越し、女性の白粉(おしろい)を思わせる沈丁花のほのかな香りに乗って、ようやく春が顔を見せようとしている。
 長い冬眠から醒めようとする虫や動物たちに代わって、今度は我々人間がなかなか目を醒ましにくい季節になってくる。

 子を持つ親にしてみれば、入園・入学・進学・就職……何とも落ち着かないのもこの季節の特色である。

 ある人は、合格発表の校庭に土下座して感謝感激を身体一杯に表す。またある人は、グッと下唇を噛みしめ、次の機会へ、あるいは他方への夢を馳せ、静かに校庭に背を向ける。悲喜こもごも、まさに春の一つの断面を見る。

 しかし、いずれにせよ両者とも本領を発揮するのはこれからである。結果などはまだまだ遠い先のことである。 自分の人生模様に、どのような色を添えるか、ということの方が遙かに大切になってくる。

 我々は今、その絵筆を握っている最中である。情報過多と言われ、綿密な管理体制の下ではあるが、菜の花に舞う蝶を愛で、四季折々に咲く花を愛する気持ちのゆとりだけは忘れずに、一歩一歩確かな足取りで生きたいと思うこの頃である。』


この年の初め、岩国工場の機関誌編集委員会が従業員投稿を募集した。
折りもおり、可愛い甥っ子が大学受験に失敗。捲土重来を期していた彼に、何らかの激励の言葉を贈りたい…という叔父の気持ちが「やぶにらみ随筆」という形として投稿のきっかけになった。
“沈丁花の咲く頃” まさに随筆創作活動の原点、処女作である。(いくらか割り引いてご判読ありたし)
いつもこの時季になると、あの当時の甘酸っぱさを思い出し、自らに檄を飛ばす材料になっている。
ちなみに、沈丁花の花言葉は、咲く時季にふさわしく「栄光」「不滅」などとなっている。

        ( 写真: 今が見頃、ほのかな甘い香りの沈丁花 )
コメント (6)
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