フリーランス的発想のススメ

~フリー満喫講座~

グロリア

2005年08月25日 | ハリウッド映画
「グロリア」(1980年)
監督:ジョン・カサヴェテス
主演:ジーナ・ローランズ
   ジョン・アダムス

 もう、オープニングのタイトルバックからして、カッコイイのです。しかしこれを見ると、リュック・ベッソンの「レオン」がいかにハリウッド的かが、よく分かるなぁ。(「レオン」と「グロリア」は内容がよく似ている)
 グロリアはおばさんである。(ジーナ・ローランズは当時46才)特別頭がいいわけでも、強いわけでもない。ちょっとだけ人生経験が豊かな不良中年。ある日、親友の一家がマフィアに殺され、1人生き残った6才の少年を見捨てる事ができず、連れて逃げるハメになる。この時のグロリアは、物凄くカッコイイ。地に両足をしっかりつけ、マフィアの車に向かって、何発も弾を撃ち込む。(パッケージ参照)躊躇もしないし、容赦もない。相手をしっかり見据えて、絶対に目線をはずさないとこも、かなりシビレます。
 グロリアはオシャレである。(着ている服は全てウンガロだそうな)ピンクのブラウスが金髪によく合っている。墓地に行く時は黒のスーツを着こなし、寝る時はキモノ風の真っ赤なガウンをはおる。ゴブラン織りのスーツケース(自分の衣裳が入ってる)を子どもに持たせ、ピンヒールでニューヨークの街を闊歩する。
 レストランで子どもがグロリアに言います。「あなたはストロングじゃなくて、タフなんだ。」まさしく、そう。グロリアはただのオバさん(女性)で、巨大な組織に1人で立ち向かうには、あまりにも弱すぎる。でも精神が『タフ』なのです。そんなグロリアを、ジーナ・ローランズがホレボレするほど見事に演じてます。 
 見るのは2回めで、1度めはたぶん10年くらい前。いや、「レオン」を見る前だからもうちょっと前か。今回見直してみて、ハッキリ「レオン」と「グロリア」の差が分かりました。
 「レオン」には、絶対的な敵役(ゲイリー・オールドマン)が出てきます。ハリウッド映画ですから、勧善懲悪なワケですよ。しかし「グロリア」にはそれが存在しない。ジーナ・ローランズだけで、成り立っているのです。また、子どもと打ち解けるための『モノマネごっこ』(遊び)もしないし、むやみに撃ちまくったり、爆破したりのハデなシーンもない。(こんな言い方して申し訳ないが、)「レオン」はいい映画だと思うし、好きな方ではあるけれど、どーしてもハリウッド的な匂いがして、ちょっとダメなのです。
 そういう意味でも「グロリア」は傑作なんじゃなかろうか。ジーナ・ローランズはマジでカッコイイ!!こんなオバさんには到底なれないけど、『タフ』な精神力は持っていたい、と思うのです。1998年にシドニー・ルメットがシャロン・ストーンでリメイクしてますが、間違ってそっちを借りないように、気をつけてね。(文句ナシ!☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆)