ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

手足口病とヘルパンギーナ

2010年08月03日 | 医療
今年の夏の異常な暑さのせいなのか、
例年になく手足口病とヘルパンギーナが流行中です。

手足口病とは、文字通り手のひら、足の裏、口の中に水泡ができる病気で、
代表的な夏かぜのひとつです。
原因は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスというウイルス感染で、
飛沫感染(空気感染)する他に、便にもウイルスが排泄させるので、
保育園などでは、あっというまに流行します。
それじたいは、たいした病気ではないことが多いのですが、
小さい赤ちゃんたちだと高熱が数日続いたり、下痢が長引いたり、
喉の粘膜の水疱が痛くて食事や哺乳が困難なことがあって、
きちんと手当しないと脱水症状を起こして弱ってしまいます。
また、まれにですが、心筋症や脳炎などの合併症の報告もあります。
(わたし自身はこれらの合併症の経験はありませんが・・・)

ヘルパンギーナも手足口病を同じコクサッキーウイルスやエコーウイルスなどの感染症で、
熱が3~4日続き、喉の粘膜に水疱ができます。
これも、のどの水疱が痛くて飲んだり食べたりができなくなることが多いです。

いずれも、症状が治るのには約一週間ぐらいです。

今の学校伝染病予防法では、厳密な出席停止の病気にはなっていません。
なので、わたし達小児科医も、熱がなくて食事も普通に摂れるようなら、
保育園や幼稚園や学校を治るまで休みなさい、とは言いません。
「本人の症状次第で登園・登校は可能」ということになっています。

でも。・・でも、なのです。

はしかや水疱瘡のように「休まねばなばない病気」ではない、けれども、
それは、「登園・登校しても人にうつさない」ということではないのです。

どういうことかというと、
症状が消えるまで休ませても、感染の流行の阻止にはならないことがわかったので、
あえて「他への感染防止のために休ませる」意味がないから、
というだけのことなんです。

ですから、同じ保育園児でも、年長さんと、赤ちゃんクラスのお子さんとでは、
対応を少し変えないといけないのではないかな、
とわたしはいつも考えています。
なぜなら、仮に熱がなくても、”食べられない、飲めない”ことで、
赤ちゃんのほうが、弱りかたがひどいからです。
今年は、暑さも手伝って、これらの病気にかかって点滴に通った赤ちゃん達が、
たっくさんいました。
やっぱり、無理して保育園に登園させてしまったお子さんが多い傾向です。
このご時世、簡単にお仕事を休む訳にいかないのは、百も承知。
だけど、それもこれも、まずはお子さんが健康であってのこと。
中には、ほかのところで手足口病は登園しててもいいからと言われた、
とおっしゃるお母さんもいました。
基本はそれで間違いじゃないんだけど、だからといって、
お熱があったり、食欲が明らかに低下している時は行かないほうがいい。

これも、小児科医の説明不足かな、と、
あらためて自分自身をも戒めています。



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