( この写真は、Jプロ仕事場にある本立てと整理棚ですが・・・・その本立ての前に雑然と置か
れているダンボール箱の中にJ先生の生原稿や、新しい単行本が詰まっています。この様に放
置されているダンボール箱があちらこちらにゴロゴロしているのです。 《 2008年度6月撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その49
もらった給料のほとんどが現金自動支払機に吸い取られ、機械から出てくる
カードとペラペラの小さなサラ金の明細書を受け取る・・・
『 俺の人生は何ンなんだよ・・・・・毎日、借金の事で頭がいっぱい
でさァ・・・! 』
Jプロの先輩アシスタントのキタさん( 仮称、当時30歳、Jプロ勤続12年目、
私を含むサラ金トリオの一角。 )は500万円の借金・・・サラ金2社、信販系
カードローン多数、それぞれ利息40%~30%・・・その借金に押しつぶされ
そうになった経緯については、これまでに書かせていただきました・・・・・。
「 親にも友人にも借りた金は、必ず返してきたんだ・・・ 」
キタさんは、遠くを見つめる様に古い過去を思い出してくれました・・・・。
「 ただ、一度だけ・・・中学生の時に友人から借りた2000円を返
せなかったんだ・・・ 」
「 何に使ったんですか、そのお金? 」
「 もう、忘れちゃったけど・・・そのお金を返せずじまいになって
しまった事だけは、心残りだなァ・・・ 」
「 ・・・・・・・・・ 」
「 それだけだよ、返さなかった借金なんて、それ一度きりなん
だ・・・! 」
1982年、秋。毎月、転がり落ちる雪だるまの様に大きくなる借金を、ついに
支えきれなくなったキタさんは覚悟を決めてJ先生に相談しようとしますが、
電話一本するにも何度もためらい・・・決心してから1週間の間、悶々と悩み
続けるわけです。
Jプロでは、この当時「 ○ンクのカーテン 」や「 ○んじんさん 」そして「 H
雲 」を連載していました。キタさんの孤独や苦しみなど、想像もしなかった
他のスタッフ・・・。 そして、みんな真面目にやっているだろうと自分の作
品に命をかけているJ先生・・・・・。
キタさんは、その日の仕事が終わって夜の道を目白通りから西武池袋線の椎名
町駅に向かって他のスタッフと一緒に帰ります・・・・・。
「 んじゃァ、キタさん! 」
「 あ・・・ああ・・・じゃな・・・ 」
「 キタさん、じゃね! 」
「 あ・・・ああ・・・ 」
スタッフたちと別れてひとり歩くキタさん・・・・・。 街灯の下で自分の影
を見つめながら・・・
『 仕様がない・・・・・・もうダメだ・・・・・・ 』
暗い路地をうつむいて歩き続けるキタさん。夜の冷たい秋風を背に・・・絶望
的な気持ちで重たい足を運びます・・・・・・
この時の、暗い・・・真っ暗な・・・泥の様に重い秋の夜をキタさんは今でも
忘れられないと言います・・・・・・。
『 J先生に・・・電話・・・・を・・・・・・ 』
角を曲がり、酒屋の横にある公衆電話・・・。キタさんはその前に立ち止まり
ます・・・・。
『 今度こそ・・・ 』
受話器を取り、ダイヤルを回す・・・( 当時は赤いダイヤル式電話 )
ルルル・・・ ルルル・・・ ルルル・・・ ルルル・・・
キタさんは、もうヘトヘトに疲れていた・・・。もう受話器から逃げる元気もな
い・・・・・
ルル・・・カチャ!
「 ・・・・・・うゥ・・・・・・? 」(「グゥ」に聞こえるほど低い声)
「 せ・・・先生・・・ 」
「 誰ィ? 」
キタさんは、心臓をゲロする様な思いで一気に吐き出します・・・
「 キタですゥ。 先生、金を貸して下さい! ・・・カードで借金しま
した・・・! 」
「 カード・・・? トランプでィ負けたのか? 」
「 漫画家アシスタント物語 第5章 その50 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その48」へ戻る 】
今回は、下の「 お知らせ 2 」も併せてご覧下さい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 拙ブログ「漫画家アシスタント物語」(第1~4章収録)が書籍化!
全326ページ。第1章の一部漫画化! 秘蔵未公開写真19点、描き下ろ
しイラスト18点を含む画像総数148点! デビュー漫画「雨のドモ五郎」
を完全収録! 《ネット通販を見る》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』
( 劇画「覇王の船」 + 小説「蟹工船」の二本立て! )が発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ 2 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 08年、7月13日(日)TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』にゲスト
出演! ・・・信じられない様なホントの話です。 13日、11時頃の
『ゲストdeダバダ』のコーナー(生放送!)だそうですが・・・正直、
大変おびえております!(汗、汗、汗)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
れているダンボール箱の中にJ先生の生原稿や、新しい単行本が詰まっています。この様に放
置されているダンボール箱があちらこちらにゴロゴロしているのです。 《 2008年度6月撮影 》 )
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その49
もらった給料のほとんどが現金自動支払機に吸い取られ、機械から出てくる
カードとペラペラの小さなサラ金の明細書を受け取る・・・
『 俺の人生は何ンなんだよ・・・・・毎日、借金の事で頭がいっぱい
でさァ・・・! 』
Jプロの先輩アシスタントのキタさん( 仮称、当時30歳、Jプロ勤続12年目、
私を含むサラ金トリオの一角。 )は500万円の借金・・・サラ金2社、信販系
カードローン多数、それぞれ利息40%~30%・・・その借金に押しつぶされ
そうになった経緯については、これまでに書かせていただきました・・・・・。
「 親にも友人にも借りた金は、必ず返してきたんだ・・・ 」
キタさんは、遠くを見つめる様に古い過去を思い出してくれました・・・・。
「 ただ、一度だけ・・・中学生の時に友人から借りた2000円を返
せなかったんだ・・・ 」
「 何に使ったんですか、そのお金? 」
「 もう、忘れちゃったけど・・・そのお金を返せずじまいになって
しまった事だけは、心残りだなァ・・・ 」
「 ・・・・・・・・・ 」
「 それだけだよ、返さなかった借金なんて、それ一度きりなん
だ・・・! 」
1982年、秋。毎月、転がり落ちる雪だるまの様に大きくなる借金を、ついに
支えきれなくなったキタさんは覚悟を決めてJ先生に相談しようとしますが、
電話一本するにも何度もためらい・・・決心してから1週間の間、悶々と悩み
続けるわけです。
Jプロでは、この当時「 ○ンクのカーテン 」や「 ○んじんさん 」そして「 H
雲 」を連載していました。キタさんの孤独や苦しみなど、想像もしなかった
他のスタッフ・・・。 そして、みんな真面目にやっているだろうと自分の作
品に命をかけているJ先生・・・・・。
キタさんは、その日の仕事が終わって夜の道を目白通りから西武池袋線の椎名
町駅に向かって他のスタッフと一緒に帰ります・・・・・。
「 んじゃァ、キタさん! 」
「 あ・・・ああ・・・じゃな・・・ 」
「 キタさん、じゃね! 」
「 あ・・・ああ・・・ 」
スタッフたちと別れてひとり歩くキタさん・・・・・。 街灯の下で自分の影
を見つめながら・・・
『 仕様がない・・・・・・もうダメだ・・・・・・ 』
暗い路地をうつむいて歩き続けるキタさん。夜の冷たい秋風を背に・・・絶望
的な気持ちで重たい足を運びます・・・・・・
この時の、暗い・・・真っ暗な・・・泥の様に重い秋の夜をキタさんは今でも
忘れられないと言います・・・・・・。
『 J先生に・・・電話・・・・を・・・・・・ 』
角を曲がり、酒屋の横にある公衆電話・・・。キタさんはその前に立ち止まり
ます・・・・。
『 今度こそ・・・ 』
受話器を取り、ダイヤルを回す・・・( 当時は赤いダイヤル式電話 )
ルルル・・・ ルルル・・・ ルルル・・・ ルルル・・・
キタさんは、もうヘトヘトに疲れていた・・・。もう受話器から逃げる元気もな
い・・・・・
ルル・・・カチャ!
「 ・・・・・・うゥ・・・・・・? 」(「グゥ」に聞こえるほど低い声)
「 せ・・・先生・・・ 」
「 誰ィ? 」
キタさんは、心臓をゲロする様な思いで一気に吐き出します・・・
「 キタですゥ。 先生、金を貸して下さい! ・・・カードで借金しま
した・・・! 」
「 カード・・・? トランプでィ負けたのか? 」
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全326ページ。第1章の一部漫画化! 秘蔵未公開写真19点、描き下ろ
しイラスト18点を含む画像総数148点! デビュー漫画「雨のドモ五郎」
を完全収録! 《ネット通販を見る》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』
( 劇画「覇王の船」 + 小説「蟹工船」の二本立て! )が発売中!
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★ 08年、7月13日(日)TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』にゲスト
出演! ・・・信じられない様なホントの話です。 13日、11時頃の
『ゲストdeダバダ』のコーナー(生放送!)だそうですが・・・正直、
大変おびえております!(汗、汗、汗)
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