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チャットGPT vs 人類 平和博

ネット上の記事を元に今話題になっているチャットGPTの現状と問題点を教えてくれる解説書。生成AIの急速な進歩が抱える問題点については、様々な人が色々な具体例を上げて警告を鳴らしており、それを紹介することでその全体像を浮き彫りにしてくれる。まず喫緊の問題点としては、個人情報侵害、企業機密の漏洩、雇用への影響、サイバー犯罪の助長、著作権侵害等があげられている。また、急速な進歩とは裏腹に、「幻覚」と呼ばれる珍回答、尤もらしい意味不明な回答、フェイク記事を事実と誤認した回答によるフェイクニュースの拡散といった弊害も多発しているとのこと。特に驚いたのは、生成AIが参考文献としてあげる著作物が生成AI自体が捏造によるものである事例が多発しているとの指摘だ。最新版のGPT-4というバージョンについては、参照データの開示がなされていないため、そうしたエラーの検証や分析すら行えない状況にあると言う。更に根本的リスクとして制御不能になるリスクも指摘されている。なお本書についてだが、巻末に参照資料として200を超えるネット記事等のURLが記載されていて、その他の参考文献は新聞記事と図書がそれぞれ数本のみということに驚かされた。これらのURLが本物なのか、今も閲覧可能なのか判然としない。新聞記事については多分ネットでも閲覧できるし、掲載されている図書も古典的なものばかりでネットで閲覧できる引用や大雑把な解説に留まっている。全てがネット内の情報のみという感じで、何だか本書そのものが生成AIの産物のようにも見えてしまった。(「チャットGPT vs 人類」 平和博、文春新書)
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