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死は存在しない 田坂広志

こちらも先日読んだ本と同じく哲学書のような題名だが、副題に「最先端量子科学が示す新たな仮説」とあるように、量子力学で解明できていない問題をブレークスルーするために提唱されている「ゼロ・ポイント・フィールド」という考え方を解説しながら世界の様々な不思議な現象について著者ならではの感性で語る教養書だ。話の内容は、著者自身が認めているように仮説の上に更なる仮説や著者の想像を重ねたようなもので、それを人生訓のような言葉で語る、カルト教団の教義書のような不思議な世界だ。話の中心となる「ゼロ・ポイント・フィールド」についても、「過去〜現在〜未来の全てが記憶されている」としつつ、現在の出来事が逐次記録されているという記述があるなど、よく理解できない点も多い。自分が理解できた範囲で言えば、著者の言うような考えが新しい進歩を促す前に量子力学が全く違う解をもたらしてくれそうな気がするが、科学の進歩というのは当初は突拍子もないものと思われたということもあるので、一つの可能性として頭の片隅に置いておいた方が良いなと思いつつ面白く読んだ。(「死は存在しない」 田坂広志、光文社新書)
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