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なぜ宇宙は存在するのか 野村泰紀

ここ100年あまりの宇宙理論発展の歴史と最近の目覚ましい進歩の成果について教えてくれる解説書。難解だが全く歯が立たないというわけではないくらいの丁寧な説明で、ビッグバン理論、インフレーション理論、マルチバース仮説といったこれまでに読んできたこうした本で得た知識とか、ここから先のことが分かっていないという事柄について頭の整理になったなぁと感じた一冊。本書ではマルチバース仮説が超弦理論や人間原理などによって補強されつつあるという話がとても興味深かった。特に、この宇宙が非常に稀な偶然でしか成り立たないという謎が、無数の宇宙が存在していて、その稀な場合にしか知的生命である人間が生まれないからだとする「人間原理」は、その発想の凄さと説得力に息を呑む思いがした。(「なぜ宇宙は存在するのか」 野村泰紀、ブルーバックス)
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