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反対進化 エドモンド・ハミルトン

著者の短編集「フェッセンデンの宇宙」はこれまで読んだSF小説のなかでも特に印象に残っている作品だったが、かなり昔の作家ということもあって、次の作品を読む機会がなかなかなかった。最近、なぜかまた色々なところで著者の名前を目にすることがあり、ネットで検索してみて、絶版になっていない本書を見つけることができた。本書を読んでみて、やはりこの作者の作品は面白いなぁと感じた。SFの歴史には詳しくないが、最近のSFは、現実の科学の進歩とリンクして「現実味」を追求するもの、ITT技術の進歩をふんだんに取り入れたサイバーSFのようなもの、極めて思弁的なもの、それらの対極としてのファンタジーSF等に大きく分岐しているように思われる。どれも面白いのかもしれないが、極端に思弁的な作品や、IT満載のサイバーSFは、年配者である自分にはあまりしっくりこないことが多い気がする。そうしたなかで、SFが色々分岐する前の本書のような作品を読むと少しほっとすることができる。なお、書かれた当時は最新の発見だった「膨張宇宙」を取り上げた作品について、巻末の解説に「科学的な誤認がある」と書かれていたが、作者が本当に誤解していたのかどうかは判らない気がする。もしかすると宇宙は正しい認識とされるように、宇宙全体として膨張しているのかもしれないし、本書で書かれたように地球を中心に膨張しているのかもしれない。もし著者が確信犯としてあえて後者のようにストーリーを展開したのであれば、それはそれで面白い。とんでもない宇宙の真理がひょっとしたらそこにあるかもしれないと空想が無限に広がる気がするからだ。(「反対進化」 エドモンド・ハミルトン、創元SF文庫)

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