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猫鳴り 沼田まほかる

一匹の猫を巡る3つの話からなる短編集。それぞれが猫好きにはつらい話の連続で、いたたまれない思いになる。ある書評を読んだら、第1話の途中で、「もうやめて」と絶叫して、読むのを中断したと書いてあった。第1話は、家の前に捨てられた子猫を捨てに行く話なのだが、何度捨てても戻ってくる子猫を性懲りもなく捨てに行く女性には、読んでいて心底「やめろ」と言いたくなる。それでも書評家のように途中でやめることはできなかった。この物語は面白いという確信のようなものがあったからだ。第2話も読んでいてつらい話だが、自分が一番つらかったのは最後の第3話。これでもかこれでもかと延々と続く衰弱していある描写が、自分にはこたえた。(「猫鳴り」 沼田まほかる、双葉文庫)

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