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私家版ユダヤ文化論 内田樹

著者の本は3冊目だと思う。どれも面白かったが、本書はまた格別面白い。著者の本を読んでいると、まずその思考の緻密さに惹かれる。小難しいのではなく、順を追って一枚ずつ皮を剥くように核心に迫っていく醍醐味がそのまま文章になっていて、読んでいてスリルを感じる。特に本書で頭に残ったのは、「ペニー・ガム法」という考え方だ。「自動販売機にペニー硬貨を入れるとガムが出てくるのを見て、銅がガムに変わったと結論づける思考方法」のことだそうだ。また、ロランバルトの「作者の死」による「幻想としてのオーサー」という考え方も面白かった。(「私家版ユダヤ文化論」 内田樹、文春新書)

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