抗菌薬の用量
通常用量については、欧米と日本では異なるので、 欧米での用量を用いるときには注意を要する。
必要に応じて、 保険診療で認可されるようにレセプトへその理由を記載する。
下表に主な抗菌薬の英字略語と通常用量を示す。
用量は重症度、 体格、腎機能に応じて調整する。
肝機能障害では、 アジスロマイシンやセフトリアキソン、 クリンダマイシンなどで用量調整する。
抗菌薬は商品名ではなく、一般名も覚えるようにする。
自身のインテリジェンスの高さを示すことができるという。
症例プレゼンなどでは一般名で伝えるようにする。
ただし、 バクタ(ST合剤) などの国際的に認知されている商品名は使用してもよいだろう。
「サルファメソキサゾール・トリメトプリム」とは言いにくいですからね。
表:主な抗菌薬の英字略語と通常用量
ペニシリン
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経口
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BPCG=ベンジル・ペニシリン・ベンザチン(160万単位分4 )
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AMPC=アモキシシリン (750mg分3)
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AMPC/CVA=アモキシシリン・クラブラン酸(3T分3)A MPC/CVA=アモキシシリン・クラブラン酸(3T分3)+A MPC(アモキシシリン 750mg分3)
としてもよい(オーグメンチン錠のAMPC含量が少ないため)
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注射
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PCG=ペニシリンGカリウム(200~400万単位IV q 4時間)
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ABPC=(1-2gIV q 6時間)*
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ABPC/SBT=アンピシリン・スルバクタム(1.5-3. 0gIV q 6時間)
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PIPC=ピペラシリン(2gIV q 8時間)
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PIPC/TAZ=ピペラシリン・タゾバクタム(4.5gIV q 8時間)
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セファロスポリン・セファマイシン
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経口
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CEX=セファレキシン(持続製剤2g分2 )
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CCL=セファクロール(750mg分3)
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注射
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CEZ=セファゾリン(1-2gIV q 8時間)
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CMZ=セフメタゾール(1gIV q 6時間)
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CTM=セフォチアム(1gIV q 6時間)
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CTRX=セフトリアキソン(1gIV q 12-24時間)**
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CTX=セフォタキシム(1gIV q 6時間)
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CFPM=セフェピム(2gIV q 12時間)
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CPZ=セフォペラゾン(1gIV q 8時間)
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CPZ/SBT=セフォペラゾン・スルバクタム(2gIV q 12時間)
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CAZ=セフタジジム(1-2gIV q 8時間)
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モノバクタム
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注射
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AZT=アズトレオナム(1gIV q 8時間)
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カルバペネム
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注射
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MEPM=メロペネム(0.5-1gIV q 8時間)
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IPM/CS=イミペネム・シラスタチン(0.5-1gIV q 8時間)
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マクロライド
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経口
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CAM=クラリスロマイシン(400mg分2)
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AZM=アジスロマイシン(2g分1の1回のみ、または500m g分1を 3日間)
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注射
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EM=エリスロマイシン(500mgIV q 6時間)
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AZM=アジスロマイシン(500mgIV q 24時間)
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フルオロキノロン
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経口
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CPFX=シプロフロキサシン(400-800mg分2)
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LVFX=レボフロキサシン(500mg分1)
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注射
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CPFX=シプロフロキサシン(300mgIV q 12時間)
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LVFX=レボフロキサシン(500mgIV q 24時間)
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テトラサイクリン
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経口
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DOXY=ドキシサイクリン(200mg分2)
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MINO=ミノサイクリン(200mg分2)
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注射
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MINO=ミノサイクリン(100mgIV q 12時間)
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ST合剤(SMX /TMP)
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経口
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SMX /TMP=サルファメソキサゾール・トリメトプリム=バクタ(4 錠分2)***
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注射
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SMX /TMP=スルファメトキサゾール・トリメトプリム= バクトラミン
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(トリメトプリムとして1日量15~20mg/ kgを3回に分けて投与)
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アミノグリコシド
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注射
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GM=ゲンタマイシン(1回5.1 mg/kg q 24時間)****
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TOB=トブラマイシン(1回5~7mg/kg q 24時間)
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その他
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経口
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CLDM=クリンダマイシン(900mg分3)
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METRO=メトロニダゾール(2g分4)
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LZD=リネゾリド(1200mg分2)
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注射
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CLDM=クリンダマイシン(600mgIV q 8時間)
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VCM=バンコマイシン(1gIV q 12時間)
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LZD =リネゾリド(600mgIV q 12時間)
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TEIC=テイコプラニン(400mgIV q 12時間)
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*髄膜炎では2gIV q 4時間。
**髄膜炎では2gIV q 12時間。セフトリアキソンは肝腎代謝。
***PCP肺炎ではバクタ12錠分3。
****GMは感染性心内膜炎では1mg/kgを12時間毎また は8時間毎に投与。
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