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総論 総合診療医のための抗菌薬ベーシック:時間と濃度の違い

2016-09-06 | 勉強会
では、今回も抗菌薬の基本事項をレビューしましょう。


 抗菌薬は抗菌作用の方式で時間依存性と濃度依存性に分類される( 下表に示す)。
 
 時間依存性の抗菌薬は投与回数を多くしたほうがよい。

 PCGの推奨投与回数が4時間おきになっているのはそのためである。
 
 バンコマイシンは通常、トラフ値1015μg/mLを目標 とする。
 
 臨床経過や感染病巣の変化、分離MRSAMIC値を参考 に、必要と判断すれば1520μg/mLを狙ってもよい。
 
 しかしながら、バンコマイシンでは、急速投与したときにヒスタミンが遊離され、 紅斑、蕁麻疹、血圧低下などのRed man(赤い男)症候群をきたすことがあるので、 1時間以上かけてゆっくり投与する。
 
 一方で、セフェピームでもRed man症候群を起こしたというケース報告もあり、必ずしもバンコマイシンに特異的な副作用ではない。
 
 一方で、 アミノグリコシドやフルオロキノロンなどの濃度依存性の薬剤は、 その効果が最高濃度Cmaxに依存するため、 一日投与量を1度に投与したほうがよい。
 
 フルオロキノロン系でシプロフロキサシンは投与後の持続効果post- antibiotic effect (PAE)が弱いために、投与回数を12時間間隔のままとする。
 
 シプロフロキサシンの静注薬はそのまま投与すると静脈炎をきたす リスクが高いため300mg/150mlあたり輸液を100ml追 加して(つまりtotal 250mlとして)用いるとよい。
 
 
表:抗菌薬の時間依存性と濃度依存性
時間依存性薬剤
濃度依存性薬剤
ペニシリン
アミノグリコシド
セファロスポリン
フルオロキノロン
セファマイシン
 
モノバクタム
 
カルバペネム
 
クリンダマイシン
 
バンコマイシン
 
 
 

 

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今井博久、徳田安春
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