燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

薬は大事 連載 その81

2013-11-17 | 本の紹介

 今回から、高齢者の薬の飲み方について考えていきましょう。

 薬剤を含む治療の進歩から長寿社会となり、われわれは多くの恩恵を受けています。 その一方、薬剤の副作用により入院する、などといった弊害が多いのも事実です。 アメリカの調査では、65歳以上の高齢者の三分の二が5~12種類の薬剤を服用しているといわれています。 薬を正しく使用する注意点をあげていきます。

 多量に飲めば効くと思ってはいけません。 薬の量・投与回数はその薬の吸収・代謝時間、作用時間などを厳密に計算し、調査され決まっています。 とくに高齢者では、薬の代謝・排泄機能が若年者と比べ低下していることがわかっているので、服用量・回数を守ることは大切です。 朝、薬を飲み忘れたからといって、昼あるいは夕に二回分飲むことはやめてください。

 ただ、血圧の薬などのように一日一回の薬で、飲み忘れないように「朝服用」としている場合もありますので、その場合には朝飲み忘れたら昼か夜に服用するようにしてください。

 また、コンプライアンスの低下があるようです。 アメリカのある調査では、六割以上の患者さんが薬の服用を医師の指示どおりに行っていないという報告がありました。 その原因をあげていきます。

 ●患者さんが服用法を理解していない

 ●身体的、精神的にその薬剤を服用することができない(関節炎がありボトルがあけられない、物忘れが多く薬の数を把握できない、など)

 ●薬価が高い

 ●薬を飲むと必ず副作用が出ると誤解している

 ●誤嚥の危険がある、嚥下障害があり服用できない

 ●視覚障害、聴覚障害があり、服用法の理解が困難

 われわれ医師は、患者さんが服用法を理解できるようにゆっくり説明します。 最近では薬剤師さんの協力もあり、大きな紙に一つずつ薬の説明・服用法が書かれるようになりました。 患者さんが理解できない場合は、ご家族に理解を求め薬剤を管理していただくこともあります。

 また必要でない薬剤は処方せず、必要な薬剤でも、可能ならできるだけ短期間に効果が得られる最小投与量を処方するように心がけております。 ちょっとでも分からないことがあれば遠慮なく医師に相談してください。

 今回はこの辺で、次回も高齢者の薬の飲み方について考えていきましょう。

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