燃えるフィジカルアセスメント

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骨は大切3 連載 その78

2013-11-03 | 本の紹介

 前回に引き続き、高齢者によくみられる疾患、今回も骨粗しょう症について考えていきましょう。

 骨粗しょう症の治療は、「骨粗しょう症の危険因子とその改善法」で示した危険因子を可能なかぎり改善し(食事療法・運動療法)、必要なら薬物療法、外科療法、リハビリテーションを行っていきます。 もちろん、骨粗しょう症と脆弱骨折の治療法の理解や、骨折のリスクを考え、転倒予防も重要になります。

 ここでは、アメリカでの治療法を考慮し、日本で使用できる薬物療法をご紹介します。

 カルシウム製剤とビタミンD製剤に加え、骨折予防効果が最も高いビスホスフォネート製剤を使用するというのが現在最もよく行われている治療です。 

 脆弱骨折を認めた患者、脆弱骨折の既往がなくても骨密度測定でTスコア(骨密度がピークを迎える30歳、同性の人と比べた標準偏差)が2,5以下(骨粗しょう症)、あるいは1,8~2,5でも、「骨粗しょう症の危険因子とその改善法」で示した危険因子が存在する患者さんに対しては治療が推奨されています。

 骨粗しょう症による骨折予防には、カルシウムとビタミンDの両方を摂取する必要があります。 どちらか片方が欠けてもその効果は低下します。

 骨の代謝は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成により行われますが、主にこの破骨細胞に取り込まれて骨吸収抑制作用を示す薬がビスホスフォネート製剤(フォサマック、ボナロン、ダイドロネル、ベネットなど)です。 とくにフォサマックとボナロン錠は、閉経後骨粗しょう症、ステロイドによる骨粗しょう症、男性骨粗しょう症において、骨量増加および骨折抑制効果が報告されています。

 エストロゲンは主に骨芽細胞に作用し骨形成を促します。 骨量増加・骨折予防効果が報告されましたが、以前より知られていた子宮体がんの発生といった副作用に加え、乳がん、脳卒中、深部静脈血栓症、冠動脈疾患(CAD)の発生が報告され、その使用は非常にかぎられるようになりました。

 例外としては、閉経前女性で、両側卵巣切除術や下垂体機能低下症などでエストロゲン欠乏症の患者にはホルモン補充療法として使用されています。 最近日本でも使用可能となった、選択的エストロゲン受容体調節剤(ラロキシフェン)は、子宮体がんや乳がんなどを発症することなく骨量の増加、骨折予防効果(とくに椎体圧迫骨折)が示されており、更年期症状も改善されます。

 日本では、ビタミンK製剤、イプリフラボン(オステン)や漢方薬なども使用されていますが、欧米では使用されません。 その効果を示す大規模な臨床研究はなく、使用は現時点ではかぎられます。

 今回の骨粗しょう症についてはここまでです、やはり日々の食生活や運動が大切なんですね、日本人の食生活にはかかせないご飯、今日からカルシウムたっぷりのふりかけなどいかがでしょうか、次回は関節炎(変形性関節症)について考えていきましょう。

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