燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

関節炎2 連載 その80

2013-11-12 | 本の紹介

 前回に引き続き、高齢者によくみられる疾患、今回は関節炎の治療法について考えていきましょう。

 治療は、疼痛と障害の軽減に加え、生活の質(QOL)を改善するために多方面からのアプローチが必要になります。

 まずは変形性関節症の非薬物療法について上げていきます。

 ●関節へのストレスや外傷、過重負荷の軽減…過度の関節使用は避け、痛みがみられたら適当な安静が必要です

 ●関節周囲筋の強化、関節の安定性と柔軟性の維持…理学療法(リハビリ)や、サポーターなどの適切な装具の使用が有効です

 ●体重の減量…理想体重に戻し、関節への負担を軽減しましょう

 つぎに薬物療法・手術療法を上げていきます。

 ①局所鎮痛剤(シップ剤など)

 ②経口薬剤アセトアミノフェンの使用 ①が無効の場合に使用します。

 ③非ステロイド性抗炎症剤 ②が無効の場合に使用します。 高齢者では、合併症や副作用の問題もあり、短時間作用型を推奨(スルガム、ボルタレン、ロキソニン、ぺオン、ミナルフェンなど)。 副作用として、消化性潰瘍、腎障害、高血圧の悪化に注意が必要です。

 ④ステロイドについて 経口のステロイドは通常使用しません。 骨粗しょう症、肥満、糖尿病の原因にもなります。 ①~③が無効時に関節内へのステロイド注入が行われることがあります。 同じ関節に最大一年四回まで注射できますが、その作用は一時的で、膝以外の関節での長期効果は確立されていません。 感染症、関節炎の悪化などの副作用もあり最小限にするべきです。

 ⑤ヒアルロン酸ナトリウムについて 一週間ごとに連続五回関節内に注射します。 関節内軟骨の保護、潤滑機能の改善による疼痛の軽減、可動域の改善が目的です。 アメリカの研究では、数ヶ月の疼痛軽減効果が報告されていますが、長期間ではその効果はなくなります。 非ステロイド性抗炎症剤と効果が変わらないという報告もあり、その使用はあくまで補助的で対症療法です。

 ⑥手術について 侵襲の少ない関節鏡下手術から、膝や股関節の大関節では人工関節置換術などが適応となることがあります。

 今回の関節炎については、ここまでです、私も膝がパンパンで水がたまっている患者さんの水を抜くところを見たことがありますが、信じられない量の水がたまっていました、人間の身体は不思議です。 それから先日、用があって近くのスーパーに行ったのですが、目の前で女性の方がカーペットからつるつるの床に足を移した瞬間、滑ってしまい、おしりを打ちました、幸いすぐに立って歩いてましたので安心しましたが、雨の日は本当に気を付けましょう。

 次回からは高齢者の薬の飲み方について考えていきましょう。

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