燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

骨は大切2 連載 その77

2013-10-30 | 本の紹介

 前回に引き続き、高齢者によくみられる疾患、今回も骨粗しょう症について考えていきましょう。

 いったん脊椎圧迫骨折を起こすと、次々に脊椎椎体骨折を起こすこと、さらに股関節骨折も年間1~3%の割合で起こすことがわかっているため、骨粗しょう症・脆弱骨折を早期発見することは重要です。 また、発見されたら、次の骨折を起こさないように積極的に治療することが必要です。

 このため、65歳以上のすべての女性、65歳未満でも閉経後で次に示します「骨粗しょう症の危険因子とその改善法」にあげた危険因子がある人、脆弱骨折がある人、70歳以上の男性、また年齢にかかわらず先にあげた二次性骨粗しょう症を起こす全身疾患をもつ人には骨密度の測定が推奨されます。

 骨密度は、成長後期20~30歳代が最も多く、年を重ねるごとに低下していきます。 とくに女性は閉経後に女性ホルモンが減るため、骨密度が急激に低下します。 これを元に戻すのは難しいため、子供の頃から骨の量を増やしておけば、骨粗しょう症の予防につながると考えられています。

 次に改善可能な骨粗しょう症の危険因子と改善法をあげていきます。

 ①カルシウム摂取不足

  ●小児期からカルシウムの豊富な食品をできるだけ毎日摂取するようにしましょう。 牛乳・乳製品、大豆製品、魚介類、野菜(小松菜・春菊・チンゲンサイなど)

  ●食事で摂取すべきカルシウムの一日量は次のとおり

   ・発育期の子供…500~900mg ・成人期…600mg ・妊娠・授乳期…1000~1100mg ・65歳以上の高齢者…850mg

 ②ビタミンD摂取不足(日照不足も含む)

  ●小児期からビタミンDの豊富な食品をできるだけ毎日摂取しましょう。 魚、鶏肉、卵、きのこなど

  ●ビタミンDを体内に取り込むには適度な日光浴と運動も必要です

 ③その他の栄養素不足、食塩の過剰摂取

  ●小児期から、ビタミンK、ビタミンC、フラボノイド、マグネシウムの豊富な食品をできるだけ毎日摂取しましょう

 ④体重減少(理想体重の85%以下、急激な体重減少)

  ●小児期より、過度のダイエットはしないように。 標準体重維持に心がけましょう。

 ⑤喫煙

  ●禁煙しましょう

 ⑥アルコール過剰摂取

  ●禁酒、あるいは減らすようにしましょう

 ⑦カフェイン過剰摂取

  ●カフェインの摂取中止、あるいは減らすようにしましょう

 ⑧運動不足・寝たきりなどの活動低下

  ●有酸素運動を一日30分以上、最低でも週5回以上行いましょう

  ●小児期から毎日の運動を。 クラブ活動や地域の運動クラブに所属するなどして、運動習慣をつけましょう

  ●寝たきりなどで、これらのことが不可能な場合は、抵抗を加えた関節運動など、可能なかぎりの運動を取り入れましょう

 ⑨二次性骨粗しょう症の原因疾患・ステロイドなどの薬剤使用

  二次性疾患のそれぞれの疾患を治療しましょう。 可能ならステロイドの減量・中止も検討する必要があります。 ほかの薬についても同様に検討してもらいましょう。

 今回はこの辺で、日光浴はある程度必要なんですね、ちょっとそれますが、よく猫がひなたぼっこしたあと、毛をペロペロなめている光景を目にしますが、あれは日光浴によりできたビタミンDをなめているのだそうです、よくできていますね。

 次回は骨粗しょう症の治療法について考えていきましょう。

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