ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

シカゴ大学の保守性とマイノリティ問題

2004-11-28 13:11:38 | 大学関係
Yokoさんご紹介の、最近の大学の多様性に関する宣言の中で、Queerコミュニティーが無視されているという、シカゴ大学新聞記事 に関連して。

この大学って、すごーくコンサバだということが最近わかってきました。伝
統のある私立のリサーチ大学って、かなりコンサバなところが多いのかもしれません。

大学のある場所がアフリカンアメリカンだらけのコミュニティーなのに、アフリカンアメリカン研究センターがほんの数年前にやっとできたとか、Gender and Sexuality Studies Centerも同様な状態で、こういう面は州立のミシガンのほうが全然しっかりしていました。これらのセンターを作る際にも、大学当局の反対はただならぬ激しさだったんだそうな。

先日会った院生さんによれば、とにかくこの大学はコミュニティと大学をいかに隔離するかに燃えている面があるんだとか。数年前、コミュニティの人が乗っているバスに学生らが乗らなくてよいように、すでに存在するバスラインとまったく同じところを通る、大学関係者専用バスを走らせたんだって。それはさすがにやめたようですが、いまでも夜には、大学関係者しか乗れないバスを走らせています。(まあ実際にはIDチェックしてないから、誰でも乗れるとは思うけど。)

あと、私立だからなんだかわからないけど、図書館にはいる際にも、ID cardを通さないと入れない。これは日本の大学図書館では当然なのかもしれませんが、州立のミシガンの場合、図書館自体には誰でも入れて、閲覧もできるようになっていました。本を借りるのはできないけれど、単に図書館内で調査をするのなら、誰でもできました。

そういえば、シカゴには、ミシガンにあった、LGBTQ Affairs Officeにあたるオフィスがないようです。ミシガンの場合、このオフィス(Queer communityの中でも賛否両論のスタンスをとることも時々あったが)がadvocateとして、大学へのプレッシャーをかけるのにかなり機能していたし、女性学の授業でも、このオフィスにコンタクトして、LGBTQに関連する講義のときの、ゲストスピーカー(学生や教員のカミングアウトストーリーのパネルとか)を集めてもらったりなどしていました。しかし、ここシカゴで、唯一サーチして見つかったのはLGBTQ mentoring programなるものだけ。これは、教員やスタッフをメンターとして、学生にあてがうというだけのものと思われます。(ほとんどコストはかかってないとみた。)とてもマイノリティ問題への取り組みが弱すぎる大学だと思います。

こういう取り組みにはケチる一方で、大学内でしょっちゅう行われている、トークやらワークショップの際に出てくる、アルコールと食べ物の量はすさまじい。とくにアルコール。この大学のアルコール用予算は相当なものだと思われます。タダ飲みできるのはいいけど、でも本来必要なところにもっとお金使ってほしいよねえ。

記事アップ

2004-11-28 11:50:20 | フェミニズム
We誌に書いた記事「『ジェンダー・フリー』をめぐる混乱の根源(1)」をアップしました。ご感想、ご意見などありましたら、お寄せくださいね。

あわせて、ぜひ同誌掲載の、三井マリ子さんの論文「男女平等を嫌う反動勢力の実像~日本にはびこるバックラッシュ現象~」もぜひお読みください。三井さんのサイトの、Articles & Essaysのコーナー中にアップされています。

先日、ボストン(ハーバード大学の近所のケンブリッジエリア)に行ったのは、この記事で触れているバーバラ・ヒューストンさんの使う「ジェンダー・センシティブな教育」という概念を最初に提唱した、フェミニスト教育哲学の草分け、ジェーン・ローランド・マーティンさんに会い、インタビューをするためでした。マーティンさん、とてもよい方で、本来インタビュアーのはずの私だったのに、いろいろ話しすぎてしまいました。とても刺激的かつ楽しいお話をさせていただきました。お連れ合い様も交え、ディナーもご一緒させていただき、とても楽しいひとときでした。

こういうフェミニスト学者が教育分野で頑張ってくれたからこそ、私ものほほんと、大学で研究したり教えたりしていられるのですよね。本当に感謝しなければ。

またマーティンさんへのインタビューへの内容については、ウェブにアップしていこうと思います。