葉室麟の『秋月記』を政見放送の収録のため東京に向かう間に読んだ。
16日に立候補要請を受け、19日には政見放送の収録とポスター用写真撮影で東京に向かった。党本部で政見放送の収録を終えると、すぐに近くにある光陽印刷の指定の写真スタジオで撮影に入る。数十枚の撮影を終え、何枚か選んでCDに焼いてもらって東京駅に向かうと、携帯が鳴りだした。知らない番号だが、出てみると「岩手日報」という地元紙の記者とのこと。「立候補されるのですか?」と聞かれたが、「ノーコメント」と回答。くだんの記者は二戸駅で待ち構えていて再び「立候補されるのですか?」と質問。再度「ノーコメント」と回答。「ようするに肯定もしないが否定もしないという意味だ」と説明。とにかく顔写真をということで撮影には応じた。この写真が20日付「岩手日報」の記事になったわけである。
ところで、『秋月記』のこと。読んだのは角川文庫版で、2009年1月、角川出版より発行されたもののを文庫化したものである。筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まり、間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助をえてその排除に成功する。藩政刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背景には福岡藩の策謀があった。藩政刷新をめざした仲間との絆が揺らぎ始め、小四郎は一人捨石となる覚悟を固める。葉室作品の共通した人物の高潔さが表れている作品である。