小説『李世民』の著者である小前亮はまったく知らない作家であった。1976年島根県生まれ。東大大学院(専攻:中央アジア・イスラーム史)修了。(有)「らいとすたっふ」入社後、田中芳樹氏の勧めで小説執筆にとりかかり、2005年6月『李世民』を講談社より出版した。
読んだのは講談社文庫版で2008年9月第1刷のものである。
李世民とは唐の2代皇帝のこと。隋の末期の群雄割拠の時代、北方太原留守・李淵の次男・李世民は李淵に決起をうながし、大陸の覇権をめざし長安をめざし長安に入城をはたし、李淵が唐の初代皇帝となる。そして、中国全土を支配下におさめたのち、長兄を殺して自ら2代皇帝となり唐のもっとも繁栄した時代を築く唐の名君と評価される人物で、その皇帝の位につくまでを描いている。
中国の歴史小説といえば、漢の時代のものが多いような気がするが、唐をえがいたものは初めて読んだ。作者の小前亮はまだ30代で、これからの活躍が期待される。可能な限り作品を見つけたら読んでみたいと思う。