東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

大村次郷 写真・文,「アジアの台所たんけん」,2002

2008-12-20 20:05:36 | 旅行記100冊レヴュー(予定)
『月刊たくさんのふしぎ』,2002年12月号(第213号)所収

ええと、決して批判や皮肉ではなく、単純な疑問なんですが、この大村次郷(おおむら・つぐさと)という写真家はどういう方なんですか。異常な量の仕事をして、関係する書籍が無数にあるのだが。一人の人間がやっているのでしょうか?
NHKシルクロード・シリーズのスティル・フォトグラファーであるし、その他、トルコから朝鮮半島まで、東シナ海からインド洋、地中海まで、あらゆる遺跡、あらゆる宗教建築を撮影している。
遺跡・宗教建築のような動かないものを撮っているだけなら、まあ他にもいるが、この方は、生きている人間も撮っている。

本書は、
トルコ・クルシェヒール県チャウルカン村のユフカ作り
スリランカ北部マタレのイデワッパ作り
カルカッタ郊外ドムジュール村の台所
ビエンチャン郊外でのソム・パー作り
チョルラプクト・ナムウォン郡(現在は市)でのみそ、しょうゆ作
ルソン島北部イフガオ州での稲の収穫

を紹介。
いずれも片手間でできる取材ではないと思う。遺跡や風景の写真だけでなく、接写もいい(プロのカメラマンならあたりまえか)。
燃料やカマド、マナイタやウス類、調理のときの姿勢がちゃんと写っているんですよ。
文化人類学者の写真なら当然だが、風景や観光写真では無視されている場合が多い。

たぶん、この雑誌のための取材ではなく、他の取材のときに撮りためたものを集めたものらしい。
なかなかいい内容ですよ。