東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

闇の子供たち,2008,日本映画

2008-12-10 19:42:54 | フィクション・ファンタジー
おそろしくつまらない、臭い演技をみせつけられる映画じゃないかと予想し、怖いもの見たさで見たが、それほどひどい映画ではない。安心して見てください。
とくにタイでのロケ・シーンがちゃんとタイで撮影されているし(あたりまえか?)、俳優もタイ語をしゃべっているし、室内シーンのプロダクション・デザインや路上のシーンもまっとうである。これが、アメリカ映画だったら、タイ人に英語をしゃべらせるだろう。それを避けただけでもみごと。(ただ、新聞記者ってタイ語しゃべるのかな?)
全体的に、これ、どこの国?というような変テコなシーンはないと思います(タイ通の方はどう思ったかな?)

というわけで、基本的なところはクリアしているので、登場人物の臭い過去のトラウマやラスト近くの銃撃シーン(いくらなんでも、こんなことが……)など無視すれば、普通に見られる。

で、前項、前々項に続くが、日本人というのは、タイのダークな面、危ない面をことさら覗き見したいらしく、そういう覗き趣味、怖いもの見たさを満足させるという意味では、この映画もまっとうな観光映画。『エマニエル夫人』や『ザ・ビーチ』の延長線にある。
高級リゾートやビーチと並んで、ボランティアや少数民族も観光の目玉である。金さえ出せば、ボランティア活動でも映画撮影でも幼児買春でもなんでもOK、寛容な国なのだ。

10年か15年くらい前からだろうか、バンコクの買春・麻薬・犯罪をことさら強調する旅行記や滞在記が増えたが、一冊や二冊なら、はは、おもしろい、と思うが、こんなのばっかり目にすると飽きる。
しかも、タイなんか行ったことがない人が本気にしているんだから困る。

一方、ボランティア活動と称するツアーもしっかり定着したようで、以前だったら民族衣装を着てダンスを踊っていたかわりに、貧しいスラムの住民を演じて観光客を喜ばせるアトラクションもあるようだ。

まあ、なんでもありがタイ旅行。今年の正月はキャンセルが出て、まだツアーに空きがあるようですから、いかがですか。もっとも、世界中で同じようなことを考えているバカンス客がいっぱいいて、ボランティア・ツアーに行ったら、同じような外国人ボランティアばかりってな事態もありそうですが。