ウィリアムのいたずらの、まちあるき、たべあるき

ウィリアムのいたずらが、街歩き、食べ物、音楽等の個人的見解を主に書くブログです(たま~にコンピューター関係も)

IoTとIndustry4.0の違い

2016-08-23 15:40:59 | ネットワーク

IoTの短期的戦略は中長期とは異なる。ことに気づかないとソフトバンクの意義が分からない
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/4e1d361b1b982628415fa77dee70e49f

で書いた、

え~っと、またくどいけど、というのがSIerさんからの望み。
じつは、こうならないかもしれない・・・ならないだろうなあ・・・
というのを、また、別の時に書く。

の答えをこれから書く。
これは、IoTとIndustry4.0が、実は微妙に違う点にある。




■IoTとIndustry4.0の展開の違い

IoTは、「センサー等を導入して」、「インターネットで」モノを繋げて、情報を分析して
ビジネスを広げようとする活動。

一般には、その製造業版が、Industry4.0と考えられているが、

・製造業は、機械をEthernetではつなげようとしているが、IPとは限らない。
・センサーはすでにかなり導入している。

のだ。この点で、展開が違う。




■Industry4.0の目指しているもの

 Industry4.0は、機械間はもとより、生産工程や企業間の連携・最適化(自動化含む)
などというものだと理解している。

 機械間の連携は、最近、「技術的な理由から」(つまり、IoTのバズワードではなく)
 産業用Ethernet化が進んでいる。これは、高速通信を行うことにより、生産の品質・効率
 向上などとむすびついているみたい。

 これに使われる、産業用Ethernetはここ等に書いてあるけど、
  ・EtherNet/IP(ロックウェルオートメーション)
  ・PROFINET(シーメンス)
  ・EtherCAT(ベッコフ)
など(ごめん、CC-Linkのインターネット版もあるね・・・省略)だ。
これらは、Ethernetだけど、TCP/IPを採用するかどうかは、決めていない。
Ethernetで十分なのだ。別に工場の機械は、マスターと通信が出来ればよいのであって、
外のクラウドとお話できる必要はない。

そして、これらと結合する、生産工程の仕様は、OPC UAで、この間に、日本ではORiN(オライン) を入れようとしている。


※Ether CATとOPC UAの話は
 https://www.ethercat.org/download/press/etg_092015_jp.pdf
 ORiNも含めた話は
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1407/30/news033_3.html
 とか
 http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2015/honbun_pdf/pdf/honbun01_03_03.pdf

そして、この構成は、「センサーや各種デバイスが直接インターネットプロトコルをしゃべり、クラウドにデータを載せる」というIoTとは、違うシステム構成になる可能性がある。




■直接お話できたとしても、GWを使ったシステム構成のほうがいい理由

今の産業用Ethernetでは、EtherCATが

工場IoT化のコンセプトに合致、トヨタがEtherCATを採用
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/032200050/042700013/

など、有力なプロトコルになっている。

EtherCATは、
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1309/17/news001_2.html


にあるように、マスタースレーブ型の方式で、制御はマスターで行うし、
パケットはすべてマスターで入手できる。
ということは、マスターをGWにして、GWからインターネットにつなげても、
個々の機械からデータを投げるのと情報量的には変わらない。

一方、個々の機械から投げられると、困る話もある。
機械構成がバレバレになってしまうのだ。
GWがあれば、そこで情報を絞れる。出したくない情報
(担当者情報とか、秘密の機械とか)は、GWで捨てて、サーバーに
なげてもOKだ。

 だが、機械から直接流すと、そうはいかない。

 機械ごとに調整するか、全部流すか・・・となってしまう。

 情報を絞り混むという観点(実はこのほか、ウィルス侵入の観点からも)
GWが有ったシステム構成のほうが有利だ。

 この場合、長期的には機械が直接しゃべるというIoTのシステム構成には、
永遠にならない可能性がある。




■GWは短期的戦略という見方。中長期的には・・・じつはわからない。

 ということで、短期的にはGW、中長期では機械が直接・・・という
ストーリーをSIerさんはしたい(いろいろ売れるからね)だろうけど、
実際はGWが続くかもしれない。

 今回は製造業の話だったけど、実は流通業でも情報を絞り込みたい
話とセキュリティの話はあって、その場合も、GWが続く可能性がある。

 ということで、IoTのすべての機械やセンサーがクラウドに繋がる
という話は、SIerさんの幻で、そうはならないかもよ~っていうのが
現実の話。




■だが、ARMは儲かる

GWになろうとも、直接しゃべろうとも、マイクロコンピューターは使う。

ここに書かれているけど

ソフトバンクがARMを買収。ARMのすごさ、川上っぷりを図解(猿でもわかる)
https://gooddayslabo.net/technology/softbank-acquire-arm

ARMは川上ですべてを抑えているので、ARM有利は変わらない。

この点、

【図解】コレ1枚でわかるIntelとARM
http://blogs.itmedia.co.jp/itsolutionjuku/2015/08/intelarm.html

のように、製品の範囲でみてしまうと、IntelとARMが競合しているようにみえて、
本質が良くわからない。

ARMのすごさはファブレスであること。工場持ってない。
なので、

Intelの工場でARMベースのチップが作れる
http://eetimes.jp/ee/articles/1608/19/news076.html

というようにARMからみると、Intelさんの工場で自社チップが
作れるというメリットはでかい。

そして、ARMチップは、Industry4.0でもIoTでも、なんでも必要。
その証拠にEtherCATでも

産業用ネットワークに浸透するEtherCAT:
マルチプロトコル対応ARM®プロセッサとSDKで開発期間を短縮

なんて出ていたりする・・・ARMの天下は(SIerと違い)続くのである・・・


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